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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 231

この時、大和はようやく気が付いた。
初めから気にはなっていたことだった。何故ヴェインがわざわざ自分を部屋に招きいれ、こうして話をしているのか。その理由がようやく分かった。
「君だよ。世界を救うとされる伝説の王、橘 大和君」
出てきた言葉は平静だった。だが、何故かその声は、大和の胸の内に深く響いて聞こえてきた。
「なんで……僕なんかを……」
「さあ、何故かな?」
質問の答えをはぐらかしながらも、ヴェインは、まるで生まれたての子羊のように体を震わせる大和を見据えながら、微笑み、そして話を続けた。
「話を戻そうか。そう、何故君に創造主エデンの話をしたか、だが……簡単に言ってしまえば、知っておいてもらいたかったのだよ。エデンの存在を……、そして奴らの狙いを」
「奴ら?」
大和が尋ねると、ヴェインは無言のまま、すっかり湯気が昇らなくなった紅茶を飲み、おもむろに言った。
「魔王ハデス、そして覇王シヴァだよ」
また1つ、雷が近くに落ちたらしい。轟音が響き、閃光が部屋中を不気味に照らす。そして一瞬後、部屋が静寂に包まれる。
「信じられないかい?」
「本当……なんですか」
大和が震える声で言った。
「奴らの狙いは、自らに逆らう者を滅ぼしつくし、最終的には世界征服が目的だと聞いていましたが……」
「ルカジマの教科書にはそう書いてあるだろうな。シルファール教は絶対主キリウスを唯一無二の神として崇めているから、創造主エデンの存在を認めてはいない。その教団と昵懇の関係にあるルカジマもまたエデンの存在を認めないのもまた当たり前の事か」
絶対主キリウスとは、まだ人類の歴史が浅い頃、朽ちかけた炭小屋の中で産声をあげた1人の人間の事である。
本名はキリウス・シルファール。様々な奇跡を起こす神の子として民衆に崇められ、そして危険分子としてゴルゴンの丘で処刑された悲劇の聖者として伝承されている男だ。
シルファール教の布教には10使徒が有名だが、キリウス・シルファールにはエレーネという妻がいた。
彼女との間に生まれた2人の娘、オリビアとサリナ。彼女たちはシルファール教弾圧を逃れ、西のほぼ無人だった西方大陸に移住して、女王に長女オリビアを立ててオリビアン=シルファール王国を建国した。
弾圧では10使徒のうちロイズ、カミンズの2人も処刑されたものの、他の7人と、使徒の1人で、キリウスの妻でもあったことから最高使徒と呼ばれるエレーネと娘たち、それに信徒たちのかなりの数が西方大陸に逃れたのだ。

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