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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 227

部屋の飾り付けや机の上を見る限り、無駄な物がほとんど見当たらない。ただ、部屋の隅に置いてあるキャビネットの中には、上等なワインがズラリと揃っていた。
「さてと……」
ヴェインが紅茶とクッキーの載った盆をテーブルに置くと、大和の向かい側に腰を下ろした。
「君とは、一度じっくりと話をしてみたいと思ってここに呼んだのだが……もしかすると、迷惑だったかな?」
ヴェインがクッキーを1つ取り、それを口に入れながら言った。
「いえ、そんなことありません。むしろ光栄ですよ。サンクキングダム王国の王子と、こうして話せる機会があるなんて」
「フッ、そう言ってくれるとこちらも嬉しいがね。………改めて名乗らせてもらおう。私の名はヴェイン・ピースクラフト。サンクキングダム王国現国王トースモアの嫡子だ。人は私を独眼竜と呼んでいる」
その異名の所以となっている右目の隻眼を大和に向けたまま、彼の瞳がキラリと光った。異性に人気がありそうな端正な顔立ちとは裏腹に、その隻眼だけは、言葉で表現しにくいプレッシャーを放ち続けていた。

大和は、手のひらに汗を滲ませながらもゆっくり深呼吸して心を落ち着かせると、
「橘 大和です。年は15歳。今はルカジマ魔法学校に……」
「ルカジマ魔法学校に在学中。クラスメイトの名はエドウィンとサリナの2人だけ。得意科目は魔術歴史。入学する事になった切っ掛けは、君の潜在魔力の高さとルカジマに攻め込んだ武将ギルダー討伐の功績等々。だが、最終的に君の入学を後押ししたのが、臨時学園長アーカートの推薦によるもの、だったかな?」
淡々と自分の経歴を口走る目の前の男を、大和はただ呆然と見つめていた。
「我が国にも諜報機関は存在する。これくらいの情報収集なら容易いことだ。他にも、君の事は大体の範囲で把握しているつもりだよ。無論君だけでなく、君の仲間達の事もね。中には大変興味深い過去の者もいた。だが……」
ヴェインは、目の前に座る自分より一回り程年が離れている少年に視線を向けながら、抑揚のない声で言った。
「私が一番興味を持ったのは君だよ、大和君」
その瞬間、遠くの方で雷の音が鳴り響いた。外の天気は、いつの間にか雷雨に変わっていた。
「単純な質問をしよう、大和君。君は、現在のこの世界をどう思う?」
「どうって、それは……」
「この世界は、大きく3種の種族に分かれている。我等が人類。魔王軍の魔族。そして、特殊能力を操る四天王軍の新人類だ。だが、他にもエルフやドワーフ、妖精族等、数多の種族がこの世界に存在する。だが、その多くが他の種族を憎み、争い、壊し、そして滅ぼす。悲しいとは思わないかね。元々、我らはたった1つの存在だったというのに……」

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