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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 218

同盟の話しはサンクキングダム側から提示してきたものだった。提案者は国の第一王子、ヴェイン・ピースクラフト。ヴェインの意図は分からないが、大国でもあるサンクキングダム王国と手を組むことは、ルカジマ側からしてみたら、決して悪い話ではなかった。
にもかかわらず、その代表者でもあるアーカートとヴェインが不仲では、せっかくのチャンスが水の泡になりかねない。
「分からないな。いつも冷静なお前らしくもない。この同盟の話が破談になってもいいのか?」
ティナがそう言うと、
「あの男は、己の感情で動く男ではないよ。自らの利益に対してのみ行動する貪欲な野心家だ。少なくとも、今日の会談には影響はないと思っている」
ようやくアーカートが口を開いた。単純に、好き嫌いといったつまらない感情で物事を左右するような男ではない、と言っているようだった。
「そうか。ならいい」
「だが、私は同盟を結ぶつもりはないぞ。昨夜も言ったことだが、私は……」
「サンクキングダムの指揮下に入るんだろ。それでもいいさ。ルカジマが力を取り戻すのならな」
「気に入らないみたいだな」
「そうではない。ただ、悔しいだけだ」
「悔しい?」
「ああ。私の夢は、崩壊したアルフレド王国の再興にある。その段階として、魔王軍からルカジマを取り戻し、そこを拠点に同志を集め、国を魔王に売り渡した裏切り者共を成敗し、そしてマックスやカイル公と共に国に凱旋する。それが、私の夢だ」
ティナは元々はアルフレド国の将軍だった。彼女は国を守るため、仲間達と共に、日夜、魔王軍や四天王との戦いに明け暮れていた。
しかし、アルフレドが崩壊した事で、全てが変わった。
国の権力争いによる内部分裂。アルフレド国王カイルの弟サルマンと軍部の頂点デュランによるクーデターの影響は、アルフレド国内に留まらず、世界のパワーバランスに大きな変化をもたらした。
首謀者サルマンと手を組んだ魔王軍はアルフレド領土の殆んどを手中に治め、その勢力を大幅に拡大。アルフレドと同盟を結んでいたサンクキングダムは、国内の反乱を抑えるのに精一杯。その隙をついた四天王は、サンクキングダム領の一部を占領するだけで、本格的に軍を動かすことはなかった。
「あのクーデターで、我が祖国は滅んだ。裏切り者が利権を貪り、愛国者が惨めに歴史の影に消えていく。まったくやるせないな」
「他の生き残りは、まだ見つかっていないのか?」
「一応捜索はしているが、まるで雲を掴むようだ。まぁ、そう簡単に見つかるとは思っていないがな」
ティナが肩を落としながら言った。
アーカートもまた、落胆した。
「そうか………、アルフレド再興を誓う優秀な将兵が集まってくれれば、その後の展開が有利になると思ったのだがな」

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