PiPi's World 投稿小説

気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 214
 216
の最後へ

気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 216

大和の胸中にも疑問が浮上した。レグナスが説明した魔法が施された窓を開けたとき、大和は一瞬たりとも魔法は使わなかった。ただ、触れただけである。
魔術施錠解除。大和もルカジマの授業で習ったことはあった。呪文を唱えれば、魔法によって施錠された扉や窓、宝箱等を開くことが出来る魔術だ。上級者になると、呪文を唱えることなく、ただ対象物に触れるだけで解錠が可能だという。
泥棒やトレジャーハンターには必須の魔法なのだが、これには弱点もあった。魔法で解除出来るのはあくまでも『魔法によって施錠された鍵』であって、一般で使われる金属製の鍵にはまったく効果が無いことである。
だが、大和はまだこの魔法は習っていない。では、習得していない魔法を、なぜ自分が使えたのか。
出口が見えない疑問の迷宮で大和の思考がさまよっていると、
「それより、ティナ殿。今日の会議について、少しばかりお話があるのですが」
ヴェインがティナと共に一同から離れると、何やら話し始めた。
「さてと……」
大和が2人の会話内容に興味を抱いていると、真面目な表情で話す男女、特に男の方を横目で見ながら、カルラは大きなあくびをし、
「面白い見せ物は終わったし、腹も減った。……飯にするか、帰るぞチビスケ」
そう言うと、みんなに背を向けサッサと中庭を立ち去っていった。半歩遅れて、大和とモルティラニアが続く。
だが大和は気付いてはいなかったが、彼の心の中では、無意識のうちに、仲間達、カルラやアーカート等に僅かな不信感を抱いていた。それは、彼がこの世界に来た原因とも関係がある。
この世界に来る前、大和は自分をかばってくれる友達もいない状況で、学校の同級生から壮絶ないじめを受けていた。味方は1人もおらず、周囲に次第に追い詰められていった少年。
大和はその当時の記憶を、先程カルラ達から問い詰められた時に、少なからず蘇らせていたのである。
もちろん、カルラ達が大和を問い詰めた理由も分からなくはない。その場にいた博識な仲間達が、存在さえ知らなかったサンクキングダムの兵器のみならず、その発射原理まで知っていたというのは、どう考えてもおかしい。なぜ知っていたのか。問い質してみたくなる気持ちも無理はない。他にも有用な情報を知っているかもしれないからだ。
だがそんな彼らの行動、1人に対して複数の人間が周りを取り囲む四面楚歌な格好は、逆に大和に苦い記憶を呼び覚ます結果となってしまった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す