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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 213

氷のような冷たい空気が場を支配していた。軽騎兵隊の地面を蹴る蹄の音や鉄砲隊の火薬の破裂音が、やけに耳障りに感じてくる。そのなかで大和は独り、強烈な孤独感を感じていた。
心の奥底では、いつも理解していたことだった。
この世界で生まれた存在ではない自分という人間の孤独感は誰も分かってはくれないのだ、と。
世界で只1人取り残されたような感覚だった。人間、魔族、新人類、エルフ族、そしてその他多くの種族。
自分は、そのどれでも無いような気がした。まるで漆黒の宇宙に1人、放り出されたようだ。
一方、周りにいる者は、誰1人として大和に言葉をかけようとはしなかった。カルラは厳しい視線で大和を睨み、アーカートとティナはさすがに睨みつけてはいなかったが、その表情は険しかった。モルティラニアは、そんな彼らの様子を見て、ただ黙り込むだけだった。
その時、
「少し宜しいですかな、皆さん」
低い朗らかな声が背後から聞こえた。
黒い貴族風の衣装に赤いマントを羽織り、黒い眼帯を身に付けた男、独眼竜ヴェインは一同に割って入るように姿を現した。
思わぬ人物の登場に、その場にいた全員が面食らう。そんな一同を見て、独眼竜はクスリと笑みを浮かべると、
「この少年が何故鉄砲の事を知っていたか、についてですが、答えは簡単です。昨夜、私が彼に会った時、直接話したからですよ」
これにはアーカートやカルラだけでなく、大和までもが思わず目を見開いた。
「テメェふざけてんのか!いきなり現れて何言ってんだ!」
カルラの物言いは、一国の王子に対して無礼にも程があるものだったが、ヴェインはさして気にする事も無い様子だった。
「いや、失礼。昨夜の事ですが、私が廊下を歩いていると、この少年と偶然会いましてね。そのまま少しばかり話をしたのですよ。ルカジマ魔法学校やメリツ修道院の話などをね。鉄砲も、その時にうっかり口を滑らせてしまって……いや、申し訳ない」
飄々と話すヴェインだが、実際この話は全てデタラメだった。大和はヴェインと廊下で会話どころか、昨夜は顔すら合わせていない。
「とてもじゃないが、信じられないな」
感情を殺したような声でカルラが言った。相手が王国の第一王子といえど、臆するつもりは毛頭ない様子だ。
そんなカルラの態度にも、ヴェインはべつだん機嫌を損ねることはなかった。彼は不敵な笑みを浮かべると、
「私の話を信じる信じないはあなた方の御自由でしょう。しかし、大の大人達が1人の少年を囲って問答する様子は、あまり誉められたものではありませんがね」
この返答に一同が思わず眉を寄せた。確かに先程までの彼らの様子は、周りから見たらかなり異様なものだったに違いない。
皆が黙り込んでいると、不意にアーカートが一歩前に歩み寄り、ヴェインと向き合った。

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