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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 212

そんな客人達をよそに、鉄砲隊は最前列の兵が射撃し、それがすむと二列目と交代し自分達は最後列に移動、そして交代した兵が前と同様に射撃、その間に最後列にいる兵が弾を詰め替える。兵達はこの繰り返しの動作を、無駄な動きを一切見せずに行っていた。
「連続射撃か。策も無く正面からぶつかったら、全滅は免れねぇな」
カルラの言葉にアーカートが大きく頷いた。
「だが弱点もある。雨だ。原動力になっている火薬だが、水に濡れてしまうと、まったく使い物にならないからな」
「他には?」
「連射が出来ないことだ。あの部隊は、兵達を横五列に並ばせ、列を交代させながら射撃間のインターバルを少なくしているようだが、果たして実戦であのように上手くいくかどうか……」
「まぁ、そうだろうな。………それより、1つ訊きたいことがあるんだけどよ」
不意にカルラの口調が変わった。静かな、どことなく不安にさせられる抑揚のない口調で、カルラは大和を睨み付けた。
「俺やアーカートも知らなかったサンクキングダムの兵器。……何でそれをてめえが知ってんだ、チビスケ?」
カルラに問われた大和は、返答に窮した。
「ええと、それは……その……僕も、この目で見るのは初めてなんですが……その……」
大和の口籠もった話し方にカルラが苛ついた表情を見せるが、ここで大和が正直に話したところで、彼らには分かるはずもなかったのである。
実際、大和は鉄砲を直接、間近で見たことは一度もない。テレビの時代劇や日本史の教科書に掲載されている写真で見たぐらいのもので、言わば一般的な知識しか持ち合わせていないのである。
これが専門の知識、例えば内部の構造や必要な材料、発砲する時に使用する火薬の適正な量といった話になると、途端に分からなくなる。学校の教科書や先生は、そこまで詳しく説明してくれなかった。
だが、そんな大和の浅い知識量でも、飛び道具を弓矢や魔法に頼ってきたアーカート達から見れば、十分すぎる情報であった。いつの間にか、仲間達全員の視線が大和に集まっている。
こうなるとますます話しづらくなる。電波の存在さえ判明していないこの世界の住人達に、テレビやラジオの説明などしても意味の無い事は分かりきっていた。とはいえ、教科書に写真付きで載っていたと言うわけにもいかない。
が、ここで適当な嘘で誤魔化すのも愚の骨頂である。ここにいるのは、アーカートやティナ、カルラなど一筋縄ではいかない者ばかりだ。その場しのぎの嘘など直ぐに見破ってくるだろう。
今更ながら大和は、生半可な浅知恵で鉄砲の説明をした事を、後の祭りとはいえ後悔していた。

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