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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 210

会話がなくなると、急に部屋の中が静かになった。静寂が支配し、かすかに聴こえてくるのはみんなの寝息だけである。
何となく落ち着かない気分になった大和はベッドから降りると、空気を入れ換えようと部屋の窓を開けた。窓が開き、夜の涼しい空気が飛び込んでくる。
再びベッドに戻った大和は、天井に描かれた花園の絵を見ながら自分のこれからの将来を漠然と脳の中に描き、ついでに自分と肉体関係を持った女性のうち一番優れていたのは誰かと考えているうちに、いつの間にか眠りについているのであった。



翌朝。
明け方の事であった。朝の日差しが世界を照らし、様々な生物達が目を覚まし始めた頃だ。
大和達はまだベッドで横になっていた。日頃早起きなアーカートやティナでさえ、夢から覚めないでいた。旅の疲れが溜まっていたのと昨夜のアルコールが、彼らの睡眠をより深いものにしていたのだろう。
だが、そんな彼らの耳に、突如、何かが破裂するような音が飛び込んできた。
「な、なんだ!?」
驚きのあまり大和がベッドから転げ落ち、盛大に頭を床にぶつけた。
ぶつけた箇所を擦りながら起き上がると、部屋にいた大和以外の全員が、目付き鋭く周囲を警戒していた。情けない事に、驚いてベッドから転げ落ちたのは大和だけらしい。
「何事だ?」
剣を構えながらアーカートが辺りを見回していると、またもや何かの破裂音が聴こえてきた。
「城の中庭からだな。この音……火薬か」
「とにかく行ってみよう」
そう呟くやいなや、アーカートとティナが部屋を飛び出していく。
「何ボケーッとしてんだ。お前も行くぞ、チビスケ」
何がなんだか全く理解出来ず床に座り込む大和にカルラが言った。
「こんな朝っぱらから何やってんのか知らねぇが、何か面白そうな事やってるのは間違いねぇ。良い機会だ。見といて損は無いと思うぜ」
そう言葉を続けるカルラは妙にニヤニヤと顔を綻ばせながら、大和の返答を待たずにアーカート達を追いかけて行った。
そのカルラに続くように、もう1人部屋を出ていこうとする者がいた。槍の使い手モルティラニアである。寝相が悪いため、着衣は乱れ、自慢の髪は寝癖が酷い状態だが、彼女はそれほど気にしてはいないようだった。
「ほら、大和君も。早く追いかけないと、見失っちゃうよ」
そう言い残すと、モルティラニアは踵を返し、他の仲間達と同様に部屋を後にしていった。
1人取り残された大和は、部屋に自分しかいないことにようやく気づくと、ベッドの傍らに立て掛けていた魔法剣ガルドを手に取り、慌てて彼らを追いかけるのであった。



アーカートの予測通り、朝の目覚まし代わりの派手な火薬音の発信源は、城の中庭であった。
面積は東京ドーム一個分程。だが城の中庭と言っても、木や花壇等華やかな物は一切見当たらず、隅の方に小屋がけ程度の建物がポツンとあるだけの寂しい風景がそこにあった。

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