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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 199

その言葉と同時に、ティナの瞳もキラリと光った。先程までの緊迫な雰囲気が一変、2人の顔にうっすらと笑みが浮かび上がる。
しかし、傍らで聞いていた大和には何がなんだかさっぱり理解出来なかった。今の一言で、2人の頭の中に一体何が思い描かれたのだろうか。
ただ、これだけは大和にも掴めていた。
(アーカートさんとヴェインさん。この2人の戦いは、メリツ修道院にレグナスさんが来た時から、既に始まっていたんだ……)
そんな事を考えながら、ふと大和は昼間の出来事を思い出していた。自分と握手を交わした時の、あのヴェインの表情。驚愕、恐怖、そして絶望などの感情が入り交じった視線。1つしかない瞳で大和を見つめ返した目は、微かだが震えていた。
(……あれは、一体なんだったんだろう?)
と自問しながら、大和は窓の外に広がるフリッドリッチの夜景をただ黙って見つめていた。



サンクキングダム第一王子ヴェイン・ピースクラフトは、自室で報告を受けていた。
報告するのは、彼の重臣でもある神龍隊隊長レグナス・クレジデンスである。
「報告は以上です」
「そうか、ご苦労だったな。レグナス」
椅子にもたれながら聞いていたヴェインはそう労いの言葉をかけるが、彼の視線は手元にある一枚の紙に釘付けだった。
「いえ……大した任務ではありませんでしたので」
レグナスはそう答えながら、部屋の隅に視線を動かした。
部屋の隅。バルコニーに出るための窓の側に、死神のように全身真っ黒のフードを被った女が、月明かりに照らされながらジッと突っ立っていた。
女の名前はセト。本名かどうかはレグナスには分からない。ただヴェインがそう呼んでいるだけなのである。年齢は見た目12・3歳だろうか。小柄で青いショートカットの髪型をした少女である。
出身地は不明。数年前、調べたい事があると言って1ヶ月程姿を消したヴェインが、無事帰還した時に一緒にいたのがセトだったのである。
氷の心を持った女、と言うのがレグナスの第一印象だった。事実、彼女はヴェイン以外の人物が何か話しかけても、一言も口を開こうとしなかった。視線を合わせようともしない。
レグナスはこの女がどうも理解出来なかった。このセトと言う女のどこに自分の主が魅力を感じたのかも理解出来なかった。この女が嫌いと言った方が正しいのかもしれない。
(まったく。殿も寵姫を選ぶのなら、もう少し明るく成熟した女を選べばいいものを。この女のどこがいいのか、儂にはさっぱりわからん)
と、レグナスがセトの漆黒の後ろ姿を見ながら愚痴を溢していると、
「レグナス。他にまだ何かあるのか?」
と、ヴェインが口を開いた。もっとも、彼の目は相変わらず手元の紙に向いていたのだが。

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