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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 186

この親子に一体何があったというのだろう。父親はサンクキングダム軍が誇るエリート集団、神龍隊の隊長。息子は若くして神龍隊の一員に抜擢された期待のエース。端から見たら、羨ましいぐらいの家系である。が、目の前の若者からは、そのような様子は感じ取れない。
大和はもう少し詳しく聞いてみたい気がした。しかし、寂しそうなアーサーの表情を見ていると、詮索する気が萎んでくる。
何となくもやもやした気分のまま、大和は城に近づいていくのであった。



大和は城の前で口をぽっかりと開けたまま立ち尽くした。
「凄い。まるでシンデレラ城ですね」
大和の正直な感想だったのだが、
「………何ですか、そのシンデレラ城とは?」
感想の意味が分からないアーサーが、首を傾げながら聞いてきた。
「あ、すみません。何でもないです」
慌てて大和が頭を下げるが、目は城に釘付けだった。
数百年もの間、大国アルフレドと同盟を組み、魔王軍・四天王といった外敵から防いできたサンクキングダム。その本拠地は、見上げるだけで目が眩むほどの巨大さを誇り、天に向かって屹立していた。それは、まるで天を支えているかのようだった。
城は全体が白く塗られており、碧色の屋根瓦が清潔かつ華美な雰囲気を醸し出している。そんな中でも、時折殺気だった兵が通ったり、全ての窓には鉄網が張り巡らされたりしており、華やかさの中にも威厳ある軍事色が漂っていた。
また、巨大なのは城だけではない。城の周りには堀が掘られており、大河と見間違うほどの水が流れていた。その堀の上には釣り橋がかけられており、そこから城に入るのである。
今、大和達が立っているのは、その釣り橋の前であった。
「行きましょうか」
アーサーが大和の先に立ち、橋を渡っていく。
そして、橋の真ん中に差し掛かった時、
「あ、大和殿。これは、非常に申し上げにくい事なのですが……」
その場に立ち止まり、苦々しげに呟くアーサーの表情は、何だか困っているようだった。
「どうしたのですか?」
「あの……城内の兵達ですが、あまり気にしないでくださいね」
「………?」
大和はアーサーが何を言いたいのか分からなかった。
「おそらく、歓迎されないと思いますので……」
そう呟くと、アーサーは再び歩き始めた。

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