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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 185

何やら意味の分からぬ言い訳を並べていく。真っ直ぐな性格のせいか嘘がつけない性格なのか、口を開くたびに顔がリンゴのように真っ赤に染まっていくのが、何とも可笑しかった。
その様子を見ていた大和が、クスリと小さな笑みを浮かべた。それに気付いたアーサーは自分の行動に気づき、さらに顔を赤くさせる。
「………と、とにかく城に向かいましょう」
アーサーはそう呟くと、大和の前を歩き、城に向かうのであった。


ところで、大和には1つ気になることがあった。
「あの、1つ質問があるんですが?」
城に向かう途中、大和はアーサーに尋ねてみた。
「はい、なんでしょうか?」
「あなたの名前、アーサーさん。もしかして、あなたはレグナスさんの……」
大和はアーサーと言う名を、以前バランの宿で耳にしていたのである。
アーサーが笑顔で答えた。
「ええ、貴殿方をここまで案内したレグナスは私の父です。なぜそれを?」
「ここに来る前に、レグナスさんから聞いてたんですよ。アーサーという1人息子がいるって」
「そうでしたか。父がそのようなことを……」
アーサーの表情が若干曇った。何やら寂しそうな様子である。
数秒間の沈黙の後、アーサーは、
「大和殿。私がレグナスの息子であることは、あまり多言しないでいただきたいのですが」
と、言った。
途端に、大和は疑問を帯びた瞳でアーサーを凝視する。
「なぜですか?」
「大和殿はご存知かと思いますが、父レグナスはサンクキングダム軍の頂点に位置するヴェイン親衛隊、神龍隊の隊長を務めています」
アーサーは淡々と言葉を並べていく。
「神龍隊は親衛隊と銘打っていますが、自国の状況によっては、隊の隊長がサンクキングダム軍全軍を指揮する権限も与えられているのです。もっとも、そのような状況になった例は過去に一度もありません。が、場合によっては、国王よりも強大な権力を操る事が出来る。それが神龍隊の隊長なのです」
「……その隊長の権限とアーサーさんとレグナスさんの関係を秘密にするのは、何か意味でもあるんですか?」
「大和殿。獅子は千尋の谷底に自分の子供達を落とし、そして這い上がってきた子供だけを育てるという話は聞いた事がありますか?」
「聞いたことならありますけど」
「………僕らはその獅子の子供達だったんですよ」
アーサーは何やら意味深な事を言うと、そのまま口を閉ざしてしまった。表情は先程と同じ、遠くを見つめるような寂しそうな形のままである。
大和の頭の中に1つの疑問が浮かんだ。
(レグナスさんは彼の事を1人息子だと言ってた。だけど……)
アーサーは先程こう言った。

僕らはその獅子の子供達なんですよ

(僕……ら?)
1人なのになぜ複数系になるのか、大和には分からなかった。

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