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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 184

「なるほど、それはすばらしいですね」
「大和様は生真面目な方ですから。しかし、あまりにも夢中になりすぎたために、途中で仲間達とはぐれてしまったのです」
これは本当の事である。もっとも、大和が夢中になったのは、すれ違う民でも珍しい建築物でもなく、美人の踊り子であったのだが。
「大和様は一刻も早く城に向かうべきだと言いました。そこに1人の迷子が現れたのです。大和様は心の優しい御方ですから放ってはおけません。迷子の母親を探して、町中を歩き回ったのです。その結果、母親は見つかりましたが……」
「逆に大和殿が道に迷ってしまった。その直後に私と出会った、というわけですね」
「その通りでございます」
結局ガルドが全部話してくれた。大和は口を挟む暇もなかった。それにしても、大和と一緒にいた踊り子のライラの部分だけをうまく避けているところが、ガルドの性格がよく出ている。
「それはお気の毒に。しかし、恥じることはありませんよ。あなたは正しい事をしたのですから。その結果どうなろうと、大和殿は胸を張るべきだと私は思います」
アーサーが大和の手を掴み、ギュッと握りしめながら言った。
これには大和も驚いた。この青年は真っ直ぐで情熱的な性格らしい。
「いえ、そんなことはありませんよ。それより、早く城に行きませんか?」
大和がチラッと横に視線を向けた。今しがたすれ違った2人の若い乙女が、大和とアーサーの様子を好奇の目で見ながら通り過ぎたのである。気のせいか、クスクス笑っていたようにも見えた。
普段から人目を気にする大和にとって、この状況は顔から火が出るほど恥ずかしかった。何しろ2人の男が何かを確かめ合うように手を握りあっているのである。見る人によっては、2人が同姓愛者と勘違いする人もいるかもしれない。
(それだけは絶対に避けなければ!!)
すると、その必死の祈りがアーサーに伝わったのか、
「あ、これは失礼しました」
と、慌てて手を離した。
「すみません。僕の癖なんですよね。感動的な話を聞くと、つい握手したくなるんですよ。だけど、これでも注意してるんですよ。昔は握手どころか、相手に抱きついていたんですから」
途端に、大和は一歩後ろに下がった。無意識に頬の辺りがひきつっている。
「いや、だから昔の話ですって」
アーサーが滑稽なくらいに取り乱し始めた。

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