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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 178

微笑みを浮かべる美女が、手を叩き続ける大和の方を向いた。ニコリと美女が笑い、大和は思わずドキッとした。少年の顔が赤くなる。
だが、大和は周りを見て、もっとドキッとした。
(………あれ?)
仲間達がいない。ジェンもカスミもアーカートもカルラも誰もいなかった。


大和は迷子になっていた。


(参ったなぁ……)
大和が頭をポリポリと掻いていると、
「女性に見とれてるからですよ、まったくもう……」
魔法剣状態のガルドがボソッと呟いた。
「……悪かったよ。それより、これからどうしよう?」
大和は、頭をかいて弱りきっている。
「先程、レグナス殿は城に向かうと言っていました。ならば、城があるフリッドリッチの中心部に向かうのが、一番先決かと思いますが」
ガルドが的確な意見を述べた。
それしかないか、とガルドに同意した大和が、足を一歩踏み出したその時、

ギュッ………。

大和の腕が誰かに引っ張られた。驚いた大和がそちらを見下ろすとそこには、
「……………」
子供が立っていた。まだ4歳くらいの男の子である。
おまけにその男の子は、目を真っ赤にし、鼻水をグスリとすすっている、いわゆる半べそ状態である。
「君は?一体どうしたの?」
大和がしゃがみこみ、男の子に尋ねる。
「泣かないで教えてもらえるかな。一体どうしたのかな?」
男の子は答えようとするのだが、声を出そうとするとなぜか嗚咽となって泣けてくる。思うように答えられないから、ますます泣けてくる。
大和にはお手上げだった。そんなマスターに対して、ガルドは一言も口を挟もうとしない。都合が悪くなると無口になるのが、この魔法剣の悪い癖だった。

どうしたものか、と大和が弱りきっていると、
「私に任せて」
薄いローブを身に纏った青い長髪の踊り子が、いつしか大和と男の子のそばにやってきた。
彼女は、
「ほらほら、こっちおいで」
と言って抱き上げると、背中をポンポンと叩きながら、優しく揺らすのだった。
「なるほどね……」
大和は、感慨深げに呟いた。
踊り子にあやされて、ポツリポツリと話した男の子は、一言で言えば母親とはぐれてしまった迷子だった。
「かわいそう。早くママを探してあげないと」
踊り子が言った。そばで黙って聞いていた大和も、それにはまったく同感だったが、
(……実は僕も迷子なんだけどなぁ)
と、心の片隅でひそかに思っていた。

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