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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 172

しばらくの間、大和は少女の行動に付き合っていた。ガルドも少女の様子を察してか、何も喋ろうとはしない。
「…………」
数分後、伝えたいことを書き終えた少女は、大和の手を離すと同時にペコリと頭を下げる。そして、後ろを向くと、その場を小走りで去っていった。彼女の表情はどこか悲しそうだった。
大和はそんな少女の背中と自分の手のひらを見ながら、ただジッと立ちすくんでいた。すると、
「で、何て書いたんですか、あの子?」
ガルドが早速聞いてきた。
「ん、………ごめん。何て書いたのか全然分かんなかった」
大和はそう答えながら、急ぎ足で部屋を後にした。セカセカと手足を前に出し、まるで照れ隠しのような動きと足取りで仲間のところに向かう。
「………そうですか」
ガルドは小声で呟くと、それ以上何も聞いてこようとはしなかった。単純にいじけただけなのかもしれないが、ひょっとしたら大和の心中を察したのかもしれない。
(ごめんね、ガルド……)
大和は心の中でガルドに謝りながら、先を急いだ。



少女は大和の手のひらにこう書いていた。
『助けてくれてありがとう。また、あなたに会いたい。ルイーズ』



「え、懸賞金貰わなかったんですか?」
旅を再開した直後、大和は盗賊討伐の折りにバランから出された懸賞金を、みんなが辞退したことを知った。話したのはアーカートだ。
「ああ。私たちは金のために奴らを成敗したわけではないからな。ましてや懸賞金などとんでもない話だ。そんなことに金を使うくらいなら、バラン復興に役立てた方がいいと思っただけだよ」
「………なるほど、だからカルラさんが落ち込んでるんですね」
大和がチラッと最後尾のカルラを見る。カルラは誰が見ても分かるくらい意気消沈しており、ゾンビのようにも見え、時節死臭を嗅ぎ付けた蝿が彼の回りをブンブン飛び回っていた。
「大和君、アイツなら気にすることはないよ。どうせ金を持ってても、また無駄遣いするだけだからな」
「無駄遣い……ですか」
その単語に、何となく身に覚えがある、橘 大和15歳であった。
「大和君も余計な物を買う金があったら貯金をしなさい。君に限って無駄遣いするなんてことはないと思うが……」
アーカートが口元を笑わせながら言った。
「ちゃんと計画的にやりくりしてますよ」
「本当かな?」
「ほ、本当ですよ。……いえっ、そうです。僕は浪費家のカルラさんとは違いますよ」
大和の答え方が余程おかしかったのだろう。アーカートが、彼にしては珍しく大声で笑い始めた。それをみて、大和はようやく自分がからかわれていたことに気付いた。周りの仲間達の視線が集まり、大和の顔が赤くなる。
なんとなく明るい空気に包まれたまま、大和一行は旅を続けていた。



それから数日後、大和一行は旅の目的地であるフリッドリッチの近くまで、ようやくたどり着いた。

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