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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 139

「3年前だがな。一度儂の1人息子のアーサーと2人で観光に来たことがあったのだよ。もっとも奴らのせいで観光どころではなかったがな」
「………奴ら?」
「ああ。このバランという町は、今はこうして賑やかな温泉街として栄えているが、昔は山賊が横行する大変荒んだ町だった。その山賊を我らサンクキングダム軍が討伐したのがちょうど5年前だ」
廊下からジェンとモルティラニアの喚声が聞こえてきた。おそらく自分たちの部屋を見て興奮してるのだろう。
しかし、大和はそちらの方には全く興味を示さなかった。レグナスが話を続ける。
「だが、山賊がいなくなっても町が栄えるわけではない。むしろ逆だった。ほとんどの民は町を捨て新天地を目指しバランを出ていった。ところが、荒廃した町を去っていく者が増えるなか、1人の女がバランを守るため名乗りを挙げた。名前はジュリア」
「そのジュリアって人がバランを立て直したんですね?」
「そのとおり。彼女は町を復興させるために、当時まだ珍しかった温泉を利用することを思い付いた。そして、これが大当たりしたというわけだ。ところが………」
レグナスのトーンが少し下がった。
「三年前。儂が隊長を勤める神龍隊に息子アーサーが入隊した時のことだ。儂は息子と2人でバランを訪れた。地図から消えそうになりながらも生き残った町、バラン。その数えきれない程の苦難にも決して挫けなかったバランの人々の心を息子に学ばせたかったからだ。だが、バランに到着したその日の夜、町は山賊に襲われた」
「壊滅したんじゃなかったんですか?」
「生き残りがいたのだよ。その残党が数を集め、再びバランを襲撃した。だが儂と息子、それに町の自警団の活躍もあり、なんとか山賊を撃退させることには成功したのだが……」
レグナスがフーッとため息をつく。その瞳は、大柄な体型に似合わず悲しい色をしていた。
「ジュリアの恋人が亡くなった」
「……………!!」
「流れ矢だった。敵が放った矢が風に流されて、運悪く彼の心臓に命中したのだよ。不幸としか言いようがない。町の犠牲者も彼1人だけだった」
「それでジュリアさんは?」
「もちろん悲しんださ。しかしいつまでも悲しんではいられない。彼女はこのバランのリーダーだからな。幸いにも山賊の首領は儂が討ち取ることに成功した。賊は壊滅し、バランは再び平和を取り戻した」
「それで、ジュリアさんは今どうしてるのですか?」
大和が尋ねる。
「ああ、彼女なら元気さ。何と言ってもこの宿は彼女が………」
その時だった。

コンコン

ドアをノックする音が聞こえた。
(誰だろう?)
どうせ仲間の誰かだろう、と大和は思っていた。部屋に荷物を置いたら、即廊下に集合して温泉に行く予定だったのだが、レグナスの話を聞いているうちにすっかり遅くなってしまっていたのである。
ところが、
「ようこそお越しくださいました」
現れたのは26、7歳くらいの美女だった。

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