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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 5

アム君は元々街の中を放浪していた捨て子で、餓死寸前の所を助けた。

私も親に捨てられたも同然だったので、共感したのだろう。

今では家事を殆どこなしているが、まだ八歳でしかない。


お風呂の中で先程までの出来事を思い返していた。

「あんなこと…二度と体験したくないものだ。」

ただ彼女は妙な胸騒ぎを覚えた。
このまま仕事を続けていては、またアイツに会うかもしれない…


「もぅ!!早く忘れなきゃ。」


そう、早く忘れてしまおう。
アリアはそう考える。しかし、忘れようとすればするほどに先ほどの記憶が蘇っていく。

かなり強い妖魔のくせに自分から手を出さないと言い切った妖魔。
にこやかに笑い続ける妖魔。
自分の頬を撫でる妖魔。

思い出しただけで、撫でられた時の冷たい冷たい感触が温かい湯の中に居てもゾクリと背筋を走る。
唐突に―
「アリア〜ッ
アリアちゃ〜んっ
遊びに来たぜ〜っ」
自分を遠くから呼ぶ男の声でアリアの思考は中断される。
「えっ?今アリアが、風呂に入ってるのっ?!
じゃあ俺も入る〜っ」
どうやら、男性の来客でアム君と何やら話しているらしい。

この、性格の軽そうで聞き覚えのある声は…
誰の声か分かった瞬間、アリアの顔が憂いをおびた顔から怒り顔に変わる。そして…
「ガイル、夜中に騒ぐなっ煩いっ!
今、お風呂に入って来たならば、お前の命は無いと思えっ!」
そう言いながらアリアはお風呂の中で立ち上がり叫んでいた…。
ガイル=バルト
アリアと同じく宝石を手に入れて生計を立てている賞金稼ぎである。
しかし、はっきりいって「軽い男の代名詞」と思えるほど駄目な男であり、アリアがもっとも嫌っている男である。
「ガイル!!何のようだ!!用がないなら出て行け!斬るぞ!」
ちなみにアリアは今までに何回かこの男に実際に剣を向けたこともある
「えっ?俺が何しに来たって…そりゃ、ココでメシを食べる為に決まってるだろ?」
アリアの剣幕にも動じずにガイルはさも当然の様に答える。
確かに、テーブルの上にはアム君が作った料理が並べられていた。
「いゃあ〜今日の妖魔狩り、収穫無しでなぁ〜
正直な話…今、金が無いんだよっ
そんな困ってる俺にアムがどーしても食べさせてあげたいって言ってくれてさぁ〜」
そう言うガイルの側にはちょっと困った顔のアム君が居た。
大方、ガイルが無理矢理アム君に頼み込んで作らせたのだろう。
こういう男だコイツは…怒る気も失せた。

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