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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 24

その誘惑に負けてか、抵抗が弱くなったイザヨイを連れて家に到着した。
「アム君、ただいま!」
家に入ってアムを呼ぶと、リビングからトテトテと可愛らしい足音でやってきた。
「アリア、おかえり。」
エプロン姿なのは今まで夕食の支度をしていたからだろう。
「イザヨイさん、いらっしゃいませ。
アリア、お風呂入る? それともご飯?」
「ご飯食べるよ、お腹減ったんだ。 アム君、イザヨイの分も良い?」
アム君はすぐに頷いてくれた。

しかし、アム君は大丈夫と言おうとした最中にあることを思い出した。
「あ!でも、イザヨイさんのいつも飲むショーチュウが今、家に無いよ〜」
どうしょう〜とアリアに向けて助けを求めるように困った顔を向ける。
「あ!?」
イザヨイが持ち込んだ焼酎は物珍しさから、一部の酒にウルサい人達やイザヨイと仲の良い人達には名前は広がったが、街中でそうそう広まっているものではなかった。
アリアがーこの地域の普段の人が、普段からよく飲むのはこの地域に昔からあった果実酒だ。
しかし、遠き異国の地から来たイザヨイは舌が慣れ親しんでいるのか"焼酎"というこの地に無かった酒を好んで呑んでいた。
「う〜ん。近くの雑貨屋はショーチュウなんて売って無いし…」
そう、ショウチュウなのに間違ってショーチュウと広まってしまうほど、ポピュラーからかけ離れた酒なのだ。
そこいらの店に転がってはいない。
「別に、酒が無くとも」
イザヨイが酒を諦めたその時、
「という事で、そんなに遠くもないイザヨイの家に取りに行こう」
イザヨイの家の中を見てみたいと顔に書いてあるアリア提案する。
(そういえば、アリア殿は家の前まで来たことはあっても、何だかんだで上がってもらった事は無かったでごさるな)
そんな事を考えている内に
「そうしてくれると、帰ってくる間に準備できるよ」
アム君も知ってか知らずか背中を押す。
「二人がそう言ってくれるなら、取りに行くとするでごさる…家にも少しなら酒の肴があるからアリア殿も手伝って頂けるか?」
「もちろん」
そう言うアリアは既にレザーアーマと剣をドアの内側に放り込んで、来た道つまりイザヨイの家の方を向いていた。
そして、二人はイザヨイの家に向けて歩き出した。
(見られて困る物も無し…)
イザヨイはそう思っていた。

確かに見られて困る物は何も無かった。

二人は特に深い話もなく世間話をして町のはずれに向かった。
一目で周りの建物と建築方式が違う木製の家、それがイザヨイの家だ。
イザヨイの家の戸のすぐ横には直立不動で立つ一つの影がいた。
体格から言って恐らく男だろう。

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