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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 25

余所者、整った顔立ち、良い感じの体つき等々とイザヨイに色んな意味で絡んでくる男は数多い。
その上で、彼女の竹を割ったような性格である─嫌な事は相手を叩き斬ってでも断る─逆恨みをする輩も多いだろう。
軽くナンパしただけで、刀で上着をボロボロにされて恨む事を逆恨みと言って良いのか判らないが。
(剣…置いて来なきゃよかったかな)
影は独りの分しか見えが、どこかに隠れて居るかも知れないそんな考えが頭をよぎる。
ザッザッザ
無い静かな夜に男の足音が一定の間隔で響く。
月光が照らす位置まで男は歩を進めた。
「こんばんわ。 おや、アリアさんもご一緒ですか。」
月光に照らされて明らかになった相手。 それは心配していた類の男ではなかった。
それなのに、アリアとイザヨイはそろって嫌そうな表情を浮かべた。
「ロウ神父様………」
イザヨイの呟きにニコリと微笑み、胸元で十字をきるロウ。 こんな時間に何故ロウがイザヨイの家を訪ねて来たかだが、その目的こそが二人をこんな表情にしているのだ。
「アリアさん、イザヨイさん、どうか迷える羊達のために御寄付をお願いします。」

ニッコリ笑顔で二人に頼むロウ。
教会の運営資金は基本的に寄付のみだ。 そんなわけで教会の神父やシスターは時々家を回って頼むのだ。
勿論断ることは可能だ。 だがしかし。
(ロウの笑顔って断り辛いんだよな)
これはアリアに限ったことではない。 街の神父、ロウの笑顔はある意味で最終兵器並に効果が大きい。
これをキッパリ断れるのはトム爺くらいだ。

「う、む………アリア殿、とりあえず拙者が相手をしている間に家からアレを取って来て下され。」
「うん、わかった。」
ロウに聞こえないようにイザヨイから耳打ちされ、一人でイザヨイの家に入って行く。
幸いにも目当てのショーチュウはすぐに見つかり、それを一本持つと家を出た。
「神はいつも貴女を御覧になっています、貴女は………」
イザヨイは、というと未だにロウに捕まったままだ。
目当てを手に入れたと伝えるが、どうやら完全に捕まったらしく、先に行ってくだされとの返事が返ってきた。
「どうせ払わないなんて無理なんだからサッサと渡しちゃて家に来なさいよ」
とは思っても当人(ロウ)の前で言う訳にもいかないアリアだった。
(言ったら私まで捕まっちゃいそうだし…)
という事でロウには見えないように"ごめん"と"先に行ってる"の合図を送った。
「神は常に、そう今も近くにいてこの会話も聞いておられるでしょう」
「近くにいるなら聞こえるでごさろうな」
相槌を打つように話すイザヨイにロウは話すのに夢中で背中側を通るアリアには全く気付いてないようにアリアには見えた。

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