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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 23

蛇妖魔の体にはそれこそ蛇のような縄が張り巡らされていた。
「「これで終わりだ」よ」」
二人の声がハモる。
ガイルの縄が妖魔を骨が折れ肉が潰れるまで締め付ける。
アリアが飛び上がり、妖魔の宝石の付いた頭部と胴体を切り離す。 
ゴトリ
鈍い音を立てて、蛇頭が地面に落ちた。
「ヨシッ、完了だな。」
互いに勝利を喜び、それぞれが武器をしまってからアリアは倒した妖魔の宝石を手に取った。
なかなかの大きさと色。
「結構良いみたい。 三人で分けても十分な収穫ね。」
宝石を大事にしまってからふと時計を見る。
「だいぶ時間が経ってる。 ねぇ、新種の妖魔は見つからなかったけど、今夜はこれくらいにしない?」
アリアが提案すると他の二人も頷いた。
「ま、そう簡単には見つからないから新種なんだろうし、また今度探せばいいさ。」
ガイルの言葉にイザヨイも賛成して、三人は森の入口へ歩いて行った。
「そう言えばコレが現れる前に『子供が歩いてた』とか言ってなかったけ?」
正確には『少年』と呼んでいたのだが、意味は通じる。
「それは…」
「居るわけねぇだろう?大方、蛇野郎の腕でも見間違えたんだろ」
「確かに茂みの方向ではござるが…」
イザヨイは茂みの方に去って行ったという意味で言ったが、アリアは茂みの方で見たと解釈してしまった。
「なんだ、じゃあ本当に居たら先に妖魔に襲われてるはずね」
となると、少年は妖魔に襲われなかったことになる。
「……やはり、拙者は一度戻って確認を……」
「いやいや! 良いから! ほら、もう出口だから。」
確かめると言って聞かないイザヨイを引っ張って森の外に出る。
「ついでだからイザヨイ。 今夜はうちに泊まりなよ。」
離したらすぐに森に入りそうだし。
「あ、じゃ俺も……」
「じゃあね、ガイル。 また組みましょ。」
流れに乗ろうとしたガイルをすっぱりと切り捨てて、折角の話だがアム殿に悪いとか拙者は用事がとか抵抗を続けるイザヨイを連れながら、アリアは家路についた。
家の前に着くまでイザヨイは帰ろうとしていた。
「アム殿に悪いでござるから。」
だがアリアはしっかりと掴んで離さない。
「大丈夫だって、それに美味しいご飯と温かいお風呂があるからさ。 ね? イザヨイ。」
「むっ、湯でござるか……」
イザヨイの抵抗が弱まる。 実は彼女、腕前なりに稼いでいるはずなのだがかなり質素な暮らしをしている。
一度だけ家を見たが小さいし、風呂が無いため大きな桶に水を溜めて浴びているらしい。
だから温かいお風呂は彼女にとってかなり魅力的なことだった。

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