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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 21


(拙者は愚かだ………)
イザヨイは一人無言で反省していた。
下手な嘘を下手な演技で隠して、夢中で先に進んでいたら、見事にアリア達とはぐれてしまっていたのだ。
周りの木は見慣れないものばかりだし、生い茂る葉で月明かりも乏しい。
(なんとかアリア殿に合流せねば。)
来た道を戻っているつもりなのだが、果たして合っているのかもわからない。
いつ強い妖魔会うかもわからない、と状況はかなり悪い。
(ん……?)
カサリと葉が揺れる音がした。
刀に手をかけつつ振り向くと、イザヨイの目にはこの場にふさわしくない姿が映った。
「今晩は、オネーチャン」
そこにはペコリとお辞儀をする
(子供も…!?)
その少年・・・・年はイザヨイとは離れ、十四、五かそれよりも低い程だろう。
子供は可愛いものだが、可愛さに付け加えて妙に人間とは思えないほど整った顔立ちをしている
「少年、こんな時分に何をしている?ここがどんな場所か判ってるのかな?」
子供相手と思っていつもより言葉がどんどん柔らかくなっていく。
そんな珍しく標準語に近い柔らかい言葉を掛けながら、鞘から手を離し、不用意に少年に近付く。
ポスン………
イザヨイが子供に近付くに合わせて向こうも飛び付いてきた。
抱き付いた子供は故意か偶然か顔をイザヨイの胸の谷間に埋める形になった。
「こ、これ!? 少年!」
慌てて引き剥がすが、今度は泣き顔になるとこうねだってきた。
「抱っこ〜」
「だ、抱っこ!?」
両手を広げて今にもイザヨイに抱き付こうという子供。
だが困ったのはイザヨイだ。 何か嫌な感じもするし、慣れない事だ。
「抱っこ抱っこ〜!」
「う、む。 少年も童という年ではあるまい、拙者が手を取り森の入口まで送ろう。」
子供は一瞬ニヤリと微笑んだ。
だが、不意に視線を森の奥に向けるとイザヨイに手を振った。
『バイバイ、またね、お姉さん。』
子供はそのまま視線を向けた方角とは逆に駆けて行き、茂みに姿を消した。
『し、少年!? ここは危険だぞ!』
イザヨイの言葉に反応は無く、沈黙が訪れた。

『お〜い、イザヨイ〜?』
暫くするとアリア達がやってきた。
「何やってんのよ!?イザヨイ」
心配していたのだろう。
アリアはイザヨイを見つけると怒ったように近づいてくる。
「すまぬ。アリア殿」
自分に非が有ることが判っているイザヨイがすぐにあやまる。
「所で今、誰かと話していなかった?」
特に心配していた様子も無さそうにガイルが割り込んでくる
「そうでごさる。それ以上に今、アム殿くらいの少年がこんな所を歩いていた。保護して村に連れて行かねば」


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