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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 15

アリアが店の中に入ろうとした時、後ろからアリアの肩を誰かがガシッと掴む。
ビックリして後ろを振り向くと…そこには怒り顔のガイルが立っていた。
「アリア!お前なぁっ
昨日は…っ」
ガイルはアリアに対して何か言おうとするが、その言葉を遮る様にファルが明るく声をかける。
「あ、ガイルさん
お使いご苦労様です
次は店の中の掃除お願いしますね?」
ファルの言葉にビクッと反応するガイル。
「…え?ファルちゃん
ちょっと休ませて?」
「ダメですよ?自業自得なんですから」
「だからってこんなにこき使わなくても…」
「あの、ガイルさん?」
「ん…何だい、ファルちゃん?」
ファルに不意に名前を呼ばれたガイルは顔を引きつらせて微笑む。
「ガイルさん
掃除用具入れはあちらですよ?
自業自得なんですから喋る暇があるのならさっさとお仕事して下さいね?」
部屋の隅っこに置いてある掃除用具入れをファルは指差す。
「だからって…
あ、ぃやすいません…
働かせて頂きますっ」
何か反論しかけたが途中で諦め、ガックリと肩を落としフラフラと掃除を始めるガイル。
アリアはファルとガイルのやりとりの意味が分からずファルに話し掛けた。
「なぁ、ファル?
お使いに店の中の掃除って…ガイルの奴どーしたの?」
カウンター席に座ったアリアは、ちょっと離れた場所で掃除をするガイルを眺める。
「あぁ…ガイルさんもツケがあって…でも、払えないっていうんで暫く只働きして貰う事にしたんですょ」
ファルのその言葉にふと不安を覚え、恐る恐るアリアは尋ねた。
「それって…もしも、ツケ分払えなかったら私もガイルと一緒に只働きだった訳?」
「当たり前ですょ!
元はと言えば払える見込みが無いのに飲む方が悪いんですからっ」
さも、当然とばかりにファルは言葉を返す。
そしてカウンター席の端に座っている女性を見て言葉を続ける。
「アリアさんも、少しはイザヨイさんを見習ってください!
イザヨイさんはツケなんてしないですよ。」
イザヨイと呼ばれた女性が此方を向いた。
「むっ、アリア殿、お久しゅう。」
綺麗な声なのに口調は男であった。
その格好もかわっている。 黒い胴着というか羽織と言うのか。 東方の騎士、侍が着るものだそうだ。
「久しぶりね、イザヨイ。 相変わらず寒そうな格好………」
「忍耐も武士道でござる。」
彼女はイザヨイ=キリサキ。 ハンター仲間だ。
「金が無くてお酒が呑みたい時も忍耐?」アリアは試しに聞いてみた。
「確かに「武士は食わねど高楊枝」と言う諺(ことわざ)もあるが、拙者はそこまで生活に苦してはござらんよ」
アリアの見当違いの質問に半ば笑い顔で返事を返す。
「ところでアリア殿はファル殿から風変わりな妖魔の話は聞いてござるか?」
常の引き締まった真面目な顔に戻ってアリアに問う。
「いいや。詳しい事はこれからよ」
「なら、拙者と同じでござるな。聞くのでござろう?一緒に聞いよろしいかアリア殿、ファル殿?」

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