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月光に照らされし幻影
官能リレー小説 - ファンタジー系

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月光に照らされし幻影 13

飽きれ顔でファルは溜め息をつく。
「そんな、他の人の名前を出して誤魔化しても無駄ですよ?
さっき抱きついた時にさりげなく財布の重さをチェックしましたから…結構貰ったんじゃないですか?」
鋭い…流石は商売人の娘と、アリアは心の中で呟く。
ファルは町中にある、酒場の一人娘兼、看板娘である。
その酒場は妖魔ハンター達が良く集まる店で、アリアも時々顔を出しては他のハンター達と飲みながら情報交換の場として利用している。
自分より年下ながら商魂逞しいファルに叶わないと思ったアリアは素直にツケ分を払う事にした。
「あぅ…折角の報酬がっ」
ファルに飲み代のツケを払ったのは良いが、その分軽くなった財布の中身を眺めてアリアは落胆する。
今の報酬の残高だと今月はあんまり贅沢出来そうに無い。
「アム君になんて言い訳しよう…」
お金の管理はアム君に任せてあるのだが、家計簿を眺め出費の多さに溜め息をつくアム君の姿がアリアの脳裏をよぎる。
ファルは上機嫌でアリアから回収した分のお金を懐にしまうと、ふと思い出したかの様にアリアに問掛けた。
「そう言えばアリアさん
昨日の夜、新種の妖魔が出没したという噂を、ご存じでしたか?」
新種の妖魔…
ソレはアリアにとって初耳な話だった。
「いや、知らないけど…
新種って一体、どんな妖魔だったの?」
興味深々に今度はアリアがファルに問掛ける。
「あ…いぇ、私もお店に飲み来たハンターさんから聞いた話なので詳しくは知らないんですが…」
訳有りな噂だったのか躊躇いがちに声を潜めてファルは語り始める…。
「そのハンターさんの話によると、その新種の妖魔を、剣で切りつけた時に…ちが出たそうなんです」
「ち?…って血?!血液の事?!」
「はい…血液の事で…しかも、その妖魔を倒してもその妖魔の死体は消えずにいたんだそうです
…今まで、そんな妖魔なんて聞いた事無いですよねぇ?」
ファルはちょっと青ざめた顔で呟く。
ファルが青ざめるのも無理は無い。一般的にハンターが狩る妖魔からは血が出ないとされている。
剣と魔法、どっちで攻撃しても、致命傷を与えれば核となる宝石を残し、体は霧となり消えてしまう。
なのに今回出没した妖魔は切れば血も出るし死体も消えないという…
「確かにソレは新種かも知れないなぁ…」
う〜んと唸りながらアリアは深刻な顔をして頷く。
「それで?その妖魔の死体は結局どうしたの?」ふと湧いた素朴な疑問を、ファルに投げ掛ける。
「死体は、倒したハンターさんも血が出る妖魔なんて気味が悪いって事で教会側に引き取って貰ったみたいですよ?
新種の妖魔の死体という事でかなりの高額な報酬金だったみたいで…
そのハンターさんウチの店で、教会から貰った報酬金を見せて上機嫌でこの話してくれましたし」

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