PiPi's World 投稿小説

学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 7
 9
の最後へ

学校で死のう! 9

「くお…」
哀徒は先程のように口の中を噛み切って術を解こうとした。だが今度は口がうまく動かない。辛うじて顎を動かせる程度にしか力が入らないのだ。
「あうう…」
「ククク…さっきのことがあるからな。少々きつめに掛けさせてもらったぞ。もっとも本気でやれば呼吸を止めることもできるんだが…それをやっては折角お前を捕まえた意味がないからな」
「ぐ…」
ふとわが身を見ると、哀徒は全裸で床に転がされている。大方水芸女に脱がされたのだろう。
――これから一体何をされるんだ!?
さすがの哀徒も不安が湧き上がるのを抑えられなかった。
「そう言えばまだお前の名を聞いていなかったな。これ、何て読むんだ?」
「え…?」
見ると水芸女が哀徒の生徒手帳を開いて哀徒に向け、「室重哀徒」と書かれた部分を指差していた。どうやら彼女は日本語の文字、少なくとも漢字は読めないらしい。
ちなみにまだ夜で、朝日は昇っていない。それでも手帳の字が哀徒に分かるのは、水芸女の指がまた妖しい光を放っていたからだ。
「あん…いや待てよ」
哀徒は「あんたに名乗る名前なんかないぞなもし」と言おうとして思い止まった。
今は少しでも話して時間を稼いだ方が得策である。しばらく経てば術の効果が薄れるかもしれないし、可能性は小さいながら助けが来るかも分からない。
また、悠長に名前など聞いてくるのは完全に相手を制圧したという自信があってのことだろう(実際しているのだが)。ここは一つ言いなりになって油断を誘うのも悪くないと哀徒は思い、口を開いた。
「むろしげ…あいと…」
「そうか…アイトって言うんだな」
「あ、ああ…この襄海(じょうかい)高校の一年生で、すぐそこの教室を使ってる。部活は文芸部で、毎日放課後に…」
「うんうん」
哀徒は出来るだけ長く、かつ相手を刺激しないように言葉を選んでしゃべり続けた。まかり間違っても以前に同じこの校舎で暴漢を撃破したことなど話せない。当たり障りのないことをひたすら口にし続けた。
「…産まれたのは木之花総合病院ていうやたらでかい財閥が経営してる病院で、産まれた時の体重は…」
「うんうん」
哀徒はいつ水芸女が「もういい。黙れ」と怒鳴るかと身構えていたが、彼女はしばらく大人しく聞いていた。哀徒がさらに話を続けると水芸女はスッと立ち上がり…
「…………」
哀徒の口が止まった。
「どうした?続けろ」
「いや…何やってんの…?」
「見て分からないか?」
水芸女は背負った大剣を床に下ろしていた。さらに腰のベルトを外し、やたら胸の部分が大きく膨れたデザインの甲冑を脱ぎ捨てていく。
「…………」
あっけに取られる哀徒を尻目に、とうとう水芸女は自分の服に手を掛けた。それを見た哀徒はほとんど反射的に彼女から視線を外す。
「どうした?見ていてもいいんだぞ?」
「見たくないって!あんた一体何考えてんのさ!?」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す