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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 8

水芸女は嘲笑いながら哀徒の顔を覗き込んできた。
――おっと!
反射的に哀徒は目玉を動かして視線を反らす。すると水芸女はチッと声を漏らして舌打ちした。
――危なかった。目が合ってたら多分さっきと同じように催眠術を掛けられていた!
哀徒の動きを封じるのにしくじった水芸女は、今度は両手で哀徒の頬を押さえた。そのまま体を前に倒して顔を近づけてくる。
――噛み付かれる!?
哀徒は咄嗟に手で相手の肩を押し返そうとした。だが案の定ほとんど力が入らない。あっという間に息がかかるほど二人の顔が接近した。
「くっ…」
「フフ…」
水芸女は怪しげな笑みを浮かべるとどういう訳か目を閉じた。そして…
ムチュ
――え?
哀徒は自分の身に何が起きたのか理解できなかった。しばらく経ってようやく、自分の口が水芸女に吸われていることを認識する。
「んんっ。んんんん。んん…」
――どうして…?
疑問に思う哀徒だったが、すぐにそれ所ではなくなる。口を吸われているうちに意識が遠くなり始めたのだ。
――まずい…
そう思った時はすでに手遅れだった。思考能力はほとんどなくなり、状況を打開する手段も思い付けなくなっていた。
「ああ…」
哀徒が無意識のうちにできたのは、普段やっていることを繰り返すことだけだった。
右腕を相手の首に回すと、手探りでワイシャツの左の袖口のボタンを外す。その袖口を右手で握り、左手首を相手の喉下に差し入れる。
「んっ。んっ。んんん…」
だが水芸女は哀徒の行動に対して何の対策も取らなかった。一向に構うことなく組み敷いた少年の口を吸い続ける。
「…………」 
哀徒は左手で自分の右袖の肘辺りを掴むと、両腕で相手の首を絞めた。いや、絞めたつもりになっただけかも知れない。
もうその頃には哀徒の意識は9割9分方飛んでいたのである。
――そう言えばこの人、指で触っただけで相手の意識奪えるんじゃなかったっけ?何でわざわざこんなことを…?
哀徒がそんな感想を抱いたのは意識のあるうちだったのか、それとも夢の中でだったのか、それは作者にも分からない。



「んあ…」
それからどれくらい気を失っていたのか、哀徒はようやく意識を取り戻した。
「俺は一体何をして…そうだ!」
哀徒は自分が意識を失う前の事を思い出した。掌から水を噴き出す変な女に口を吸われて気絶させられたのだ。彼は急いで目を開けて状況を確認しようとした。すると…
「お早う、少年。やっと私を見てくれたな」
傍らに例の水芸女が四つんばいになり、哀徒の顔を覗き込んでいた。
――しまった!
慌てて目を反らそうとしたがもう遅かった。目が合った瞬間に哀徒は再び体を動かせなくなる。

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