PiPi's World 投稿小説

学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 5
 7
の最後へ

学校で死のう! 7

撃たれてからでは遅いとばかり、哀徒は左に飛んで射線から逃れた。同時に水芸女の手から再び水流が迸る。
「くお!」
水流が哀徒の体の右を掠めていく。哀徒はパンチを空撃ちしながら水芸女目がけて突進した。
「ふん」
水芸女は両腕で顔をガードしながら後退しようとした。だが哀徒が接近する方が少し速い。哀徒は右手で相手の右手を掴み、思い切り引き寄せた。
「ん、何を?」
水芸女の体が四分の一回転ほどする。哀徒は腰を落としながらさらに踏み込み、左手で相手の腰を抱えた。続いて右手も相手の体に巻き付ける。
「死ねえっ!」
哀徒が両腕を強く締めながら足を伸ばすと水芸女の体が浮き上がった。さらに彼は体を左に捻りながら後ろに倒れこみ、水芸女の脳天を床に叩き付けようとする。
「何だと!?」
水芸女の口から驚愕の言葉が漏れた。
――よし、もらった!
哀徒がそう思った時である。突然彼は自分の体に感電した時のような衝撃が走るのを感じた。
「ギャアアアアアアアアァッ!!」
その凄まじいことと言ったら、河の上を走る高圧線に凧を引っ掛けた時のことを彼が無意識に思い出してしまったほどである。
――しまった。スタンガンか!
哀徒は臍を噛んだがもう遅い。相手の体を離しこそしなかったものの投げの体勢は大きく崩れた。そのまま水芸女の下敷きになる格好で床に倒れ込んでしまう。
「ぐえっ!重いっ!」
哀徒の口から蛙が潰れるような悲鳴が漏れた。水芸女は元々大柄の上に鎧や大剣を着けているから、実際かなりの重量があったのだ。
「このガキ!」
水芸女は立ち上がることなく哀徒の方を向いてのしかかって来た。どうやら相当立腹したらしい。
――まずい!
哀徒は急いで相手の腰を下から蹴って突き放そうとした。だが電撃の後遺症で思うように体が動かない。そうこうしているうちにとうとう馬乗りになられてしまった。
完全に哀徒を組み敷いた水芸女が憎憎しげに口を開く。
「捕まえたぞ!さっきからよくも散々侮辱してくれたな。私はこれでも傷付き易い性格なんだ。おばさんだと?重いだと?私はまだ20代前半だしダイエットだってしてるんだぞ!」
「ぐくっ…」
哀徒は焦った。体が満足に動きさえすればまだ反撃できる。だがそうなるまでには少し時間を稼ぐ必要がありそうだった。
そこで哀徒はおずおずと口を開く。
「あ、あのですね…」
「うるさい黙れ」
「ひ…」
トークで間を持たせようという戦術はあえなく失敗に帰した。先方は哀徒に回復する時間を与える気はさらさらないようだ。
「覚悟しろ。一滴残らず搾り取ってやるからな…」
「な…」
哀徒はまたしても戦慄した。
――搾り取るって、まさか血でも吸い取る気か!?
この世に吸血鬼はいなくても、自分を吸血鬼と思い込む人間は立派に存在する。もしかして水芸女はそういった異常者の一人なのか?
「何だ、恐いのか?顔が引きつってるぞ」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す