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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 70

「喰らえ!!」
「うっ!」
言うまでもなく、哀徒はペットボトルの中の灯油を、避けようがない至近距離で、ミルキュリアの顔面に撒き散らしたのである。本当ならこのまま火を着けてしまいたいところだが、学校に放火することになってしまう(しかも林崎先生がおそらく近くにいる)ので、そこまではできなかった。
とは言え、ミルキュリアの視界を奪うだけでも十分だった。今はミルキュリアの他に敵がおらず邪魔が入らないのだから、追い打ちをかけて葬ればいい。
哀徒は素早くペットボトルを床に置くと(残った灯油をこぼしたくなかった)、右手でミルキュリアの顔面に駄目押しの拳を入れようとした。そうやって体勢を崩させてから、絞め技で首を極めてしまえば……
「はっ?」
だが、拳を放つ前に哀徒は固まった。
灯油を顔にかぶったはずのミルキュリアが仁王立ちしていて、険しい表情で哀徒を見下ろしていたからである。
視線がもろにかち合う。
「しまっ……」
哀徒は、動けなくなっていた。さっきも喰らった、催眠術のような魔法だ。全身から冷や汗が、滝のように噴き出てくる。
「うぐぐ……がああ……」
必死の思いで拳を放とうとする哀徒だったが、無情にも手は1センチも動かなかった。
「無駄だ」
パシッ!
あべこべに、ミルキュリアに顔を軽くはたかれる。痛くはなかったが、かなりの屈辱だった。
「こ、この……なんで……?」
「なんで、お前が投げたこの変な液体が、私の顔にかからなかったのか、か? お前には一度眼潰しを喰らったからな。分からないように風の結界を顔の前に張っていた。お前はそうとも知らずに、自信満々でまた私に眼潰しを仕掛け、この有様というわけだ」
ふふん、とミルキュリアは得意げに鼻を鳴らした。
「そんなのありかよ……」
「ありだから、この結果になっているんだろうが。さて……さっきお前なんて言った? ババア、とか聞こえた気がしたが、私の聞き間違いだったかな?」
「そ、それは……」
哀徒の背中を、さらなる冷や汗が伝った。殺そうとしただけでも完全にアウトなのに、無用の挑発までして、駄目押しの墓穴まで掘ってしまっていた。
「言っただろう、私は傷付き易いと。そこへ持ってきて、ババア、だと? どうやらお前には、きっつーーいお仕置きが必要なようだ」
「うう……」
一体何をされるのか見当が付かず、哀徒は不安を覚えた。ミルキュリアは哀徒の柔道着の襟を両手で掴み、見かけより遥かに強い力で吊り上げる。
「場所を変えるぞ」
「……?」
哀徒には、なぜミルキュリアが移動したがるのか分からなかったが、もちろん彼女はヘティラが戻ってきて邪魔をするのを嫌ったのである。
ミルキュリアは哀徒を吊り上げたまま廊下を進み、先程までいた会議室から2つ隣の部屋に入った。

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