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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 69

今は何を置いても、ミルキュリアを確実に仕留めることが大事である。哀徒は立ち上がると、残った槍を両手に構え、裂帛の気合と共に彼女の喉笛めがけて繰り出した。
「キエェッ!」
ところが、何としたことか、哀徒の槍はミルキュリアの肌の数センチ手前で、見えない壁に当たったかのように止まってしまった。哀徒は必死に突き入れようとするが、頑として動かない。
「無駄だ」
「え……?」
見ると、ミルキュリアが目を開けて哀徒を睨んでいた。慌てて視線を逸らす。金縛りの術には、かからずに済んだ。
「くっ!」
跳び下がって距離を取る哀徒。ミルキュリアはゆっくりと立ち上がり、言った。
「私は金の精霊と契約をしている。金物で私を傷付けることは不可能だ」
「ぐ……」
契約ってどんな? と哀徒は訊ねかけたが、ろくでもない内容であることは察しが付いたので、やめた。
「だが、私に向けて武器を放つだけでも大したものだ。さすがはこのミルキュリアが選んだ下僕。凡百のオス共とは物が違うな」
嬉しそうに微笑んで寄って来るミルキュリア。哀徒は仕方なく、2人目の相手に使うはずだった道具を出すことにした。
「ふ……」
諦めたような表情で、歩み寄るミルキュリアを迎える哀徒。
「いい子だ……やっと観念したか」
優越感に口元を歪めて、ミルキュリアがさらに近寄る。
それを見ながら、哀徒はさりげなく、両手を腰にやった。そしてミルキュリアとの距離を目測する。
――後50センチ、30、20、10……
――ゼロ……
ミルキュリアとの距離が十分詰まった瞬間、哀徒の目から光が失われた。そして、あたかも失神するかのように、前のめりにグラリと倒れて行く。
「哀徒!?」
驚きの声を上げるミルキュリア。しかし、哀徒の体が床に崩れ落ちることはなかった。足を前に出して踏み留まると、さらにもう一歩前へ。
ミルキュリアが気付いたときには、哀徒の両腕は彼女の腰を抱きかかえていた。
ダウンすると見せかけて相手に組み付く。格闘技ではたまに見る光景だった。
「捕まえたぞ、ミルキュリア」
「どういうつもりだ? 哀徒」
組み付きはしたものの、哀徒はミルキュリアを押し倒したり、投げ飛ばそうとはしなかった。代わりに左手で、ミルキュリアの腰のベルトを掴み、右手を自分の懐に突っ込む。
そのとき、ミルキュリアの表情が歪んだ。
「んっ、この臭いは……?」
「気が付いたか。でももう遅い。死ね、魔法使いババア!」
哀徒の懐から出現したのは、灯油入りのペットボトルだった。既に蓋を外されていたその容器は、哀徒の手によって振られ、中身を宙に迸(ほとばし)らせた。

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