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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 71

確実にヘティラから逃げおおせるためには、本当はもっと遠くまで移動するのが望ましいが、哀徒を連れてあまり長く廊下を歩くと、それはそれでヘティラやグーランスに遭遇する危険性がある。致し方なかった。
「さて、哀徒」
ミルキュリアは哀徒の服を持ったまま彼の体を壁に押し付けると、顔と顔を至近距離に寄せて言った。
「もう一度聞くが、さっき私に向かってババアとか言ったな?」
「あうあ……」
どう答えていいか分からず、哀徒は曖昧な声を出した。
さっきから、また口の中を噛み切って呪縛から逃れようとしているのだが、今回も言葉を話すのが精一杯な程度に、口が痺れていた。
「言ったな?」
さらに顔を近づけ、もう一度ミルキュリアが聞く。哀徒はとうとう観念して、返事をした。
「い、言ったけど、それが何か……」
「…………」
ミルキュリアは無言で哀徒から片手を離し、甲冑の留め金を外して脱いだ。さらに服を大きくはだけさせ、小山のような大きさの乳房を露出する。
ミルキュリアと哀徒には身長差がある。そのため彼女の乳房は、ほとんど哀徒の目の前に突き付けられた。
「……?」
バンッ!
哀徒がミルキュリアの意図を探ろうとしたとき、乳房が思い切り哀徒の顔面に横から叩き付けられた。頭より大きな肉の塊で殴られたのだからたまらない。哀徒の脳が振動し、平衡感覚が狂う。
「あ……」
視界が歪み、上下が分からなくなった哀徒に、ミルキュリアが問う。
「どうだ、私の胸は? 老婆の乳房にこんな張りがあるか?」
「何を言って……?」
バンッ!
また殴られた。体を固定されているので、余計に脳に響く。このままダメージが蓄積しては危ない。
「ま、待って……」
「何を待つのだ? 私の質問に答えろ」
「す、すみませんでした!」
「どういう意味だ? その謝罪は」
「ババアなんて言ってすみませんでした!」
脳を揺らされ続けて、パンチドランカーになったら万事休すである。とりあえずミルキュリアの攻撃を止めさせるため、哀徒は必死に謝罪をした。
「では、先程の言葉は取り消すんだな?」
「は、はい。取り消します」
「そうか。まあいいだろう。で?」
「え……?」
「何が『え……?』だ。他に言うことがあるんじゃないのか? 最初に出会ったときに言っただろう? 私はとても傷つき易いんだ」
「だ、だからすみませんでしたって……」
「たかが謝罪の言葉如きで私の繊細な心が癒されると思うのか? もっとよく考えろ」
「考えろって言われても……」
ミルキュリアのきつい眼差しに睨み付けられる。哀徒は答えに窮した。今の危機を脱するためには何とかしてミルキュリアを満足させなければならないわけだが、どうしていいのか分からない。
「この愚図め……」
ミルキュリアは、そんな状態の哀徒に、苛立ちを隠さなかった。
「もういい。お前、私のことをどう思っているんだ?」
「え……? それは凄い魔法使いだと……」
「馬鹿かお前は。そんなことは今更言わなくても当たり前だ。女としてどう思っているのかと聞いているんだ」
「ぐっ……」
相変わらず、哀徒にはミルキュリアの意図が今一つ読めなかった。だがここは、適当に追従をしておくのが無難だろう。
「お、お綺麗だと思います……」
「そうか」
心なしか、ミルキュリアの表情が幾分柔らかくなった気がした。
「で、何番目だ?」
「え……?」
「だから、お前が今までに出会った女性の中で、私は何番目の美女かと聞いているんだ」
「そ、それは……」
一瞬、哀徒は答えに窮した。今までの人生で出会った女性というと、家族に学校の先生に同じ学校の女子生徒と言ったところだが、いきなり自分は何番目かと聞かれてもピンと来ない。
「早く答えろ!」
「うっ……」
哀徒は思い直した。今求められているのは、別に哀徒の脳内で美人コンテストを開くことではない。ミルキュリアの機嫌を損ねないことである。
「か、かなりの上位だと思います……」
当たり障りのないように、哀徒は答えた。実際ミルキュリアは、外見だけならスタイルの良い、相当な美女なので、無難な回答のはずであった。
「何だと……?」
だが、哀徒の言葉はミルキュリアを満足させるものからは程遠いようであった。
「おい、私以上の美貌の持ち主がいたとでも言うのか?」
額に青筋を浮かべるミルキュリア。哀徒は慌てて言い直した。
「て、訂正します! 一位です!」

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