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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 63

「だが、ただ殺すのも忍びないからチャンスをやろう。この男を助けたければ、私のところに来るんだ。場所はええと……」
そこまで言ってから、ミルキュリアは、自分がこの建物の名前も部屋の名前も知らないことに気付いた。仕方なく、また魔法を中断し、林崎に尋ねることにする。
「この建物と部屋の名前は何だ?」
「か……は……」
林崎は答えない。喉をやられているのだから答えたくても答えられないのだが、そんな事情をミルキュリアが斟酌するはずもない。彼女は魔法で指先から水流を飛ばすと、林崎のすぐ前の床を穿ち抜いた。
鼓膜を突き破るような破壊音と共に、床が砕け散り、水滴と破片が林崎の体に叩き付けられる。
「早く答えろ! 命がいらないのか!?」
ミルキュリアが凄む。洒落や冗談でなく、自分の命が風前の灯であると改めて悟ったのか、彼は苦しい息の下からようやく言葉を絞り出した。
「ほ、本校舎……棟の……だ、だい、第二会議……室です……」
「ふん。ようやく白状したか。下賤なオスめ」
聞くべきことを聞いたミルキュリアは、すぐにそっぽを向き、また哀徒に向けて語りかけた。
「本校舎棟の第二会議室だ。待っているぞ。20分以内だ」
それだけ伝え終えると、ミルキュリアは通話魔法を切った。時間を20分と区切ったのは、それだけあればこの敷地のどこにいても、ここに来られるだろうと踏んでのことである。後は哀徒が来るのを待つだけだ。彼女は会議室に入ろうとした。
「…………」
しかし、ミルキュリアはふと思いとどまったように足を止めた。林崎の方を振り向き、質問をする。
「室重哀徒を知っているな?」
「え……? む、む、室重が何か……?」
その瞬間、ミルキュリアの回し蹴りが林崎の左側頭部に入った。
バシッ!
「ぐあっ!」
「誰がお前に質問を許可した?」
「ひいっ! 耳が、耳が……」
左の耳を押えてうずくまる林崎。鼓膜が破れたのかも知れない。そんな彼を、ミルキュリアは傲然と見降ろす。
「その耳は働きが悪いようだな。私の言葉が聞こえていないようだ。ならば、片方ぐらい潰しても問題あるまい」
「…………!」
完全に恐怖に駆られた林崎は、手を合わせてミルキュリアに許しを乞うた。ミルキュリアはフンと鼻を鳴らし、尋問を再開する。
「では答えろ。室重哀徒の弱点は何だ?」
「じゃ、弱点……」
どうやらミルキュリアは、哀徒を捕まえ易いように、弱点を把握しておこうという考えたらしい。だが林崎にしてみれば、当然ながらそんなことを聞かれても、おいそれと答えられるものではない。哀徒がやらかした数々の悪さについてはもちろん噂で聞いているが、だから弱点は何だと聞かれても、困るだけであった。担任でもないから、そんなによく話しているわけでもない。
「む、室重はとにかく喧嘩の多い生徒で、よく他校の生徒と揉め事を……」

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