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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 62

ミルキュリアの一方的な命令に、ガクガクと頷いて答える林崎。逆らっても無駄だと感じたのだろう。ミルキュリアは彼のそんな様子を見て、おもむろに顎をしゃくった。
「立て」
「…………」
無言のまま立ち上がる林崎。ミルキュリアは剣で彼の背後を指し、さらに命令を下した。
「隣の建物まで歩け」
「…………」
林崎は後ろを向くと、出口を目指して歩き始めた。ミルキュリアは彼に剣を突き付けながら、その後に付いていく。林崎を人質に哀徒を呼び出すのに、この場所ではまずいとミルキュリアは考えていた。
ここに林崎がいることは、ヘティラも知っている。
――あの筋肉猫に私と同じことを考える頭があるとは思えないが、場所を変えておくのに越したことはないだろう。
やがて2人は第一校舎棟を出て、本校舎棟の入口に至った。ミルキュリアは続けて、
「外から中の見えない部屋に案内しろ。できるだけ広い部屋だ」
と命じる。そこに哀徒を監禁し、調教する算段だった。
「…………」
またも無言のままで、林崎は階段を上った。そしてミルキュリアの注文に従い、第二会議室へと彼女を案内する。
「この部屋か?」
「は、はい……」
「よし。そこで大人しくしていろ。妙な真似をしたら即刻首が飛ぶと思え」
「ひいっ!」
その場にへたり込んだ林崎を無視し、ミルキュリアは額に右手の指先を当てた。そして、例の遠隔通信の呪文を唱え出す。
「βΓεΣЫ……」
本来ならこの魔法、魔力を持つ者にしか意志を伝えられない。だが、一つ例外があった。それは、メッセージを送る相手の持ち物を、術者が手にしている場合である。ミルキュリアは剣を納めて哀徒の生徒手帳を手にすると、彼に聞かせる言葉を口にした。
「哀徒。聞こえているだろう。私だ。ミルキュリアだ」
ミルキュリアは、一度言葉を切った。今頃哀徒は、急に自分の声が聞こえて動揺しているだろう。落ち着く猶予を与えてやらないといけない。少し待った後、ミルキュリアは再び口を開いた。
「残念ながら、私はお前の近くにいない。魔法を使って、お前の心に話しかけている。ああ、言っておくが、お前の声は私に届かない。私から伝えるだけだ」
そこまで言ってから、ミルキュリアは魔法を中断して林崎に質問をした。
「おい下郎。名前は何だ?」
「は、林崎です……」
それを聞いたミルキュリアは再び呪文を唱え、哀徒への言葉を続ける。
「では本題だが、手っ取り早く言おう。林崎という男を預かっている。これから処刑するところだ。哀徒、お前のせいだぞ」
「ひいいいっ!」
一際甲高い悲鳴を上げて、林崎がとうとう失禁した。一般人なら当然の反応だが、ミルキュリアにとっては哀徒との語らいを邪魔するものでしかない。彼女は足を振り上げ、爪先を林崎の喉にめり込ませた。
グギュッ……
「ッ……」
声にならない声を上げ、林崎は床に横たわる。ミルキュリアは路傍の小石を見るような眼で彼を見下ろし、哀徒への言葉を再開した。

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