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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 6

ビニールのブックカバーを掛けていたのが幸いし、中までは濡れていなかったのだ。
「いやあ、危ない危ない」
哀徒はハンカチで本の表面を拭うと後生大事に鞄の中にしまった。その鞄も肩から外して床に置く。
――さて、仕切り直すか!
改めて水芸女の方に向き直ると、彼女は哀徒の方をまっすぐに見下ろしていた。どうやら親切にも哀徒が本をしまうまで待っていてくれたようだ。(もちろん哀徒は攻撃されてもいいように警戒していたが)
両手を構える哀徒に向かって、彼女はおもむろに口を開く。
「抵抗を止めてもらおうか」
「はい?」
「大人しく投降しろと言っているんだ。お前の為だぞ」
「はあ?頭おかしいんじゃないの?」
唐突な降伏勧告に哀徒は呆れ返った。抵抗するなと敵に言われて抵抗を止める馬鹿がどこにいると言うのか。だが水芸女はさらに意外なことを口走った。
「私はお前を連れに来たんだ」
「俺を連れに…?」
「ああ。なるべくなら傷付けたくはない」
やれやれ、と哀徒は思った。うまいこと言ってこちらを油断させ、隙を見て攻撃するつもりだろう。よくある話だ。
――しかし、別に不利になった訳でもないのに何でそんなことするんだろ?
疑問に思う哀徒だったが、とりあえず相手の言い分に突っ込んでみることにした。
「それじゃ聞くけどさ、俺に用なら何だってこんな時間にこんな所にいるの?俺の家に来ればいいじゃない。それとも何、俺がここに来るって知ってたの?」
「いや、知らなかった。会えたのは単なる偶然だ」
「激しく嫌な偶然だね…」
やはりまともな答えは返って来なかった。
「大人しく付いて来れば危害は加えない。それどころか天国を見せてやるぞ」
そう言うと水芸女は哀徒に一歩近づいた。彼女の口元はにやりと歪んでいる。哀徒は戦慄した。
――何が危害を加えないだ!天国って殺す気満々じゃないか!
やはりこの女はカケラも信用できない。そう思った哀徒は相手が進んでくるのに合わせて後ずさった。
「逃げるな。取って喰ったりはしない」
水芸女は何故か自分の胸の辺りをさすりながら迫ってくる。
「ひ…」
気味が悪くなった哀徒はいよいよ後退した。とは言うもののあまり距離を開けすぎると剣を抜かれた時に対処できない。苦しい所である。
「どうしても嫌だと言うのか?」
「い、嫌に決まって…」
「そうか…なら仕方ない。やはり少し痛い目を見てもらう。こっちは命さえ無事ならそれでいいんだからな」
「………?」
またも意味不明なことを言われて困惑する哀徒だったが、水芸女はそれ以上口を開かなかった。
黙って右手を上げ、掌を哀徒に向ける。
「食らえ!」
「え!?」
――どういうことだ!?タンクはまだ空じゃないのか、それとも新ネタか!?
だがどちらにしろ向こうがこちらを攻撃しようとしていることは疑いない。
「ふんっ!」

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