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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 59

ドアが開いたことに気付いた哀徒が、そちらの方を見た。が、魔法で姿を隠しているグーランスを発見することはなく、また横を向く。彼はしばらく機械のボタンを押したりしていたが、やがて立ち上がってドアへと向かった。
「哀徒様……お出になられるんですのね」
グーランスは哀徒の邪魔にならないよう、ドアから離れた。部屋を出た哀徒は槍と鞄の他に、例の機械を携えている。そして後ろを振り返ることなく、足早にどこかへと歩いていった。その様子から、先程グーランスに尾行されていたときほどの用心深さは見て取れない。
「やはり、何かありましたわね。これは……」
グーランスは確信した。先程の哀徒の行動は、単なる戦闘準備ではない。何か突発的な事態が発生し、それに対処するために彼は動いているのだ。確証はないが、ミルキュリアかヘティラが何かのアクションを起こし、哀徒に働きかけたのかも知れないと彼女は思った。
――二人に連絡を取って、聞いてみようかしら?
だが、グーランスはすぐにその考えを捨てた。ミルキュリアかヘティラが何かを企んでいたとしても、向こうからグーランスに伝えてこない以上、話す気がないと見るべきだ。
もしそうなら、何かあったかと質問したところで、はぐらかされるのが落ちだろう。それが分からないほど、グーランスと彼女達の付き合いは浅くなかった。
――しばらくこのまま、哀徒様の後ろにお付きして様子を見るしかありませんわね。ミルキュリア、ヘティラ、わたくしのご主人様に妙な真似をしたら、承知しませんわよ……
グーランスは哀徒に引き離されないよう、小走りになって彼を追跡した。

さて、グーランスが奇妙に感じた哀徒の振る舞いは、一体何だったのであろうか。
それは、ミルキュリアを葬るための準備だった。哀徒は最初、すぐにミルキュリアの指定する場所に向かうつもりだったが、途中で考え直したのである。
――待てよ。このままミルキュリアの言う通りのこのこ出て行ったら、どうなるんだ?
外○省ではあるまいし、相手の言うことを聞いていればこちらの希望も通ると考えるほど、哀徒はおめでたくなかった。下手をすれば、哀徒も林崎先生もミルキュリア達に殺される危険が大きいのではないだろうか。
――そうなるぐらいなら、いっそ何か仕掛けてみるか!
哀徒は、今の状況を逆手に取り、ミルキュリア達を攻撃する方法を考え始めた。(自分を捕える絶好のチャンスである以上、ミルキュリア達は3人で待ち構えているものと、彼は考えていた。)
――……よし、あれでもやってみるか!
やがて、哀徒は一つの作戦を思い付いた。作戦が決まったからには、一刻も早く支度をしなければならない。
必要なものは、カセットテープとレコーダーである。それが手に入るのは軽音楽部の部室だ。階段を降りたところで立ち止まっていた哀徒は、目当ての部屋に直行した。

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