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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 58

そこを返り討ちにし、見るも無残な敗北を与えるというのがグーランスの作戦だった。プライドを完全に破壊し、その上でグーランスを奴隷とする奴隷契約を要求すれば、自信を失った哀徒は必ず応じるだろう。素晴らしい筋書きだ。
しかし、部室の外に立ち続ける間に、グーランスはだんだん待ち切れなくなってきていた。
「いいえ、いけませんわ。ご主人様を物陰からお待ちするのも奴隷の大切な務めだと、お母様が仰っておられましたし……」
グーランスは自分の胸を抱きしめ、高ぶる心を必死に抑える。そのとき……
バァン!
突然部室のドアが開き、何やら白い装束を着た哀徒が猛然と飛び出した。手には槍のようなものを2本持っており、頭には異様な模様の入った布を巻いている。
「あ、哀徒様!」
グーランスは慌てて哀徒の後を追った。哀徒はかなりの早足で、廊下を駆け抜け階段を下って行く。相当に急いでいる様子だ。
「哀徒様、一体何が……?」
踊り場まで降りたグーランスは、哀徒が階段の下で立ち止まっているのを発見した。どうやら彼は、何か考え込んでいるようだ。
「あら……?」
哀徒が動き出すのを、その場で待つグーランス。やがて再び歩き出した哀徒は、外に出ることなく、ある部屋の扉を開けて中へと入った。
「……? まだ何かご準備がおありなのかしら?」
グーランスは、哀徒の入った部屋の前に歩いて行った。閉まった扉の前で様子をうかがっていると、ドンドンと何かを叩く音が中から聞こえてくる。
――何かしら?
不審に思ったグーランスは、さらに注意深く耳をそばだてた。すると今度は、哀徒の大声が中から響く。
「来たぞ! ミルキュリア!」
――ミルキュリア! ミルキュリアが中に!?
グーランスは驚愕した。哀徒がミルキュリアに呼び出され捕まったのなら、どうにかして逃がす手立てを考えないといけない。彼女は扉に耳を付け、ミルキュリアの声を聞き取ろうとした。
だが、ミルキュリアの声が聞こえてくることはなく、代わりに哀徒の声が再び聞こえてくる。
「な、何だお前……? うわああああっ!」
それきり、中からは何も聞こえてこなかった。一体哀徒に、何が起きているのか。矢も楯もたまらなくなったグーランスは、意を決して扉を静かに開け、中の様子を覗き込んだ。
「哀徒様……」
哀徒は部屋の中央に一人、横を向いて座っていた。グーランスはミルキュリアの姿を探したが、哀徒のほかには誰もいない。
「……どういうことですの?」
その上、先程の悲鳴が嘘のように、哀徒は落ち着き払っていた。やや張り詰めた表情はしているものの、何かに怯えたり驚いたりといった様子ではない。
「あれは何かしら?」
よく見ると、哀徒は両手に何かを持っていた。横幅が肘から指先までほどある、直方体の妙な機械だ。それが何であるか、グーランスには分からなかった。
「ん……閉まってなかったか?」

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