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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 57

『ああ、言っておくが、お前の声は私に届かない。私から伝えるだけだ』
「…………」
そういう魔法なのか。哀徒は黙りこくった。どうやらミルキュリアは哀徒と交渉するのではなく、一方的な通告を行う気のようである。
しばらく待っていると、またミルキュリアの声が響いてきた。
『では本題だが、手っ取り早く言おう。林崎という男を預かっている』
「なっ……」
哀徒は言葉を失った。林崎というのは、例の宿直の先生の名前である。
『これから処刑するところだ。哀徒、お前のせいだぞ』
信じがたいほど残酷な、ミルキュリアの言葉だった。哀徒がヘティラからも逃げだしたので、見せしめにするとでも言うのだろうか。
「ぐくっ……」
哀徒の拳に力がこもる。
『だが、ただ殺すのも忍びないからチャンスをやろう。この男を助けたければ、私のところに来るんだ』
なるほど。哀徒は合点がいった。処刑というのは口実で、本当の狙いは自分を誘き出すことのようだ。
『場所はええと……』
ミルキュリアが口ごもる。誰かに自分の現在位置を確認しているようだった。聞かれているのはおそらく、林崎先生本人だろう。
『本校舎棟の第二会議室だ。待っているぞ。20分以内だ』
それきり、ミルキュリアの声は聞こえなくなった。
――急がなきゃ。
哀徒は槍を2本とも持ち、早足で部室を後にした。ミルキュリアに言われるまでもなく、先生の命が危険に晒されている原因は、自分が不用意に宿直室から運び出したせいだと分かっている。できることなら救出したかった。
――でも、まだ時間はあるな。
実を言うと、本校舎棟という建物は哀徒が今いる部室棟のすぐ隣なのである。多分、ミルキュリアは哀徒がどこにいるか掴めておらず、到着までの時間に余裕をみたのだろう。哀徒はそう考えた。
――分からないこともある。どうして第一校舎棟じゃなくて、本校舎棟なんだ?
今のミルキュリアの話だと、彼女は林崎先生を連れて第一校舎棟からその北側にある本校舎棟に移っているということになる。大した距離でないとはいえ、何故わざわざそんなことをするのだろうか。
――まあ、今は考えるだけ無駄か……
哀徒は思考を中止し、階段を下っていった。

「ああ……まだですの哀徒様は。いっそお支度をお手伝いしたいくらいですわ……」
哀徒が文芸部室に入った後、グーランスは外で哀徒を待ち続けていた。哀徒が出てきたらまたしばらく後をつけ、適当なところで先回りするためである。
そして、どこかで哀徒の前に姿を現し、彼が自分に気付くように仕向ける。逆に自分は彼に気付かないふりをするのだ。
そうすれば、当然哀徒は後ろから襲撃してくるだろう。

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