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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 54

考えてみれば、それほど予想外の話でもなかった。ミルキュリア達が固定電話も携帯電話も不通にできる以上、電気を止められるとしても今更驚くことではないだろう。
ただ、電気を使った作戦ができなくなるのが痛いと言えば痛かった。それに外と中を隔てるあの空間の機能から考えて、ガスや水道まで止められている可能性がある。哀徒にしてみれば、21世紀文明人としてのアドヴァンテージが失われる、一大ピンチだ。
「はあ……」
哀徒は天井を仰ぎ、しばしの落ち込みタイムを取った。だがこの事態である。数秒以上は許されない。
――へこんでもいても駄目だ。集めたもので武装を整えないと!
哀徒は気を取り直し、2本の棒と3丁の包丁を机の上に並べた。これらをどう使えば、最も大きな殺傷力を得られるだろうか。少し考えた末、棒と包丁で槍を作ることに決める。誰でも思いつくありきたりなアイディアではあるが、それだけに予期せぬ失敗もないだろう。哀徒はそう考えた。
「よいしょっと」
包丁を出したのとは別の戸棚から、文房具入れの箱を取り出し机の上に置く。哀徒はまず、出刃包丁と棒を接合させる作業にかかった。
「♪雪の降る街で〜〜あなたと巡り会った〜〜」
何かを作る時、つい小声で歌を口ずさんでしまうのが哀徒の癖である。彼は文房具入れから、瞬間接着剤とビニール紐、それにガムテープを取り出した。
「♪ああ〜〜アジの小骨が喉にひっかかる〜〜」
それらを使って、棒の片側、金具の付いていない方と包丁の柄をつなぎ合わせる。これは手に持って戦うための槍なので、できるだけ頑丈に作らないといけない。
「♪だから僕はあのガガンボを追う〜〜そうさどこまでも〜〜」
接合が終わり、哀徒は出来上がった槍を机の上に置いた。
ゴト……
穂先は外にはみ出させ、接着剤が机に付かないようにする。このまましばらく放置しておけば、接着剤が固まるはずだ。
もっとも完全に固まった後でも、強度的には不十分かも知れないと哀徒は思う。なるべく負担をかけないよう注意して扱って、それでも一度の戦闘で壊れる可能性が高い。あり合わせの材料で作る以上、その辺りが限界だった。
――まあ仕方がない。次だ。
続いて哀徒は、残った棒と万能包丁をつなぎにかかる。ただし、今度は接着剤で軽く留めるだけだ。
――こんなもんだな。
出来上がった2本目の槍は、遠くの相手に投げつけるためのものである。1本目と違い、わざと壊れやすく作った。そうしておけば万が一的を外した際、地面に落ちたショックで穂先が外れ、相手は投げ返すことができない。
――もっとも、実際には外した時点で死亡確定だろうけどね!
哀徒は自嘲気味に笑い、完成した投げ槍を1本目の槍の隣に置いた。
「ふう……喉渇いたな」
ここらで水分補給と行くか。そう考えた哀徒は、電源の落ちた冷蔵庫を開いた。
「ええと俺のは……ああ、これだ」

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