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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 53

――まあ、裸よりは数百倍マシか。
道場以外で道着を着ることに違和感がないでもないが、今は贅沢を言っている場合ではない。哀徒は柔道着を取り出すと、一旦靴を脱いでそれを着込んだ。下着はないが、元々柔道着は下着なしで着るものなので、その辺りは全く問題ない。黒帯を締め、再び靴を履く。
さらに哀徒はロッカーの中を漁り、テーピング用のテープを取り出した。帯の結び目が解けないよう、テープを巻いておく。靴にも巻き、靴紐が解けないようにした。
――こっちは……止めておくか。
続けて、両手にテープを巻くことで拳の補強をしようとして、哀徒は思い止まった。それをやればパンチの威力は向上するが、手先の器用さはかなり損なわれる。ここはどんな戦い方でもできるよう、大事を取っておくべきだろう。
――後は、これだな……
哀徒は長い髪の束を、前へと回した。できるだけ邪魔にならないよう、髪型を変えようと考えたのである。
スルリ……
裾をまとめた紐を解き、ヘアピンを全て抜く。そして置いてあったティッシュペーパーでこよりを作り、髪を一度後頭部でまとめた。
「…………」
そして、まとめた場所から左右に一つずつ、髪の輪を作る。2つの輪の重なった部分を紐で縛り、最後にこよりを外した。唐輪(からわ)という、昔の若い侍が結っていた髪型に近い感じである。自分で、しかも鏡も見ないでやったので形が少々いびつになっているかも知れないが、まあ気にしても仕方がないだろう。
――次は武器か。
服を着て髪型を変えた程度では、とうてい戦いの準備をした内に入らない。哀徒は武器になるものはないかと、部室をぐるりと見回した。
――とりあえず、あれだな……
哀徒は、部屋の隅にある掃除用具入れに近づいた。扉を開け、中にある自在箒を2本取り出す。さらに先端のねじを回してブラシを取り外し、2本の棒とした。箒はまだあるのだが、動きを鈍くすることなく持ち歩けるのは2本ぐらいが限界だろうと哀徒は考える。
――今度はこっちだ!
次に哀徒は、電気ポットやコーヒーカップの収められた戸棚に近づいた。下の引き出しを開け、目当ての物を見つけ出す。
「フフフフ……やっぱりこれがないとね」
やや悪役気味の表情で哀徒が取り出したのは、3丁の包丁だった。
肉厚の出刃包丁、薄い万能包丁、そして小さなぺティナイフ。部室棟で料理をするために、哀徒が持ち込んだものだった。どれも欠かさず手入れをしており、すぐに使用できる状態にある。
――さて、どういう風に使うか……ん?
何気なく電気ポットに眼をやった哀徒は、妙なことに気が付いた。いつも入っているはずの電源が、入っていないのだ。
――もしかして……
哀徒は冷蔵庫に向かい、中を開けた。やはり電源が落ちている。もちろん電気ポットも冷蔵庫も、コンセントは刺さったままだ。
――電気を止められたか!

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