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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 51

「さあ、どうなりますかしら」
改めて観察してみると、哀徒は明らかに、以前より頻繁に後ろを振り向いていた。はっきりとグーランスの存在を感知しないまでも、やはり何がしかの気配を感じ取っているのだろう。
「さすがは、わたくしがご主人様と望むお方ですわね」
グーランスは腹を括った。もし哀徒が彼女の気配にいたたまれなくなり、突然走り出すようなことがあったら、そのときはその場で襲い掛かって捕らえるしかない。
「逆調教……もとい御説得にかなり手間取るでしょうけど、致し方ありませんわ」
だが彼女にとって幸いなことに、それ以降も哀徒は以前と変わらぬ調子で歩き続けた。ひとまず恐れていた事態は避けられたようだ。といっても、もちろん油断はできない。グーランスは細心の注意を払い、未来の主人の追跡を続けた。

…………

――気のせいか……
暗がりを移動しながら、哀徒は妙な感覚に囚われていた。通用門を離れたときから、ずっと誰かに見られているような気がしていたのである。だが、振り返ってみてもそれらしい人影は見当たらなかった。
――まさか、あの三人が俺を魔法で監視してるなんてことは……
嫌な状況が想像される。しかし、彼女達が自分の所在を掴んでいるなら、すぐに襲撃してくるはずだ。それがないということは、やはり思い過ごしなのだろうか。
――でも、何か目的があって俺を泳がせているのかも知れない。どっちだ……?
哀徒は、両方の場合を想定してみることにした。
見られていないと仮定した場合、ミリキュリア達に対して奇襲という戦法を取れる。
一方見られていると仮定した場合は、正攻法で戦闘を挑むしかない。
そして、哀徒が彼女達に傷を付けるには、奇襲を仕掛けるしかない。正攻法ではおそらく、小指の爪の先ほどの可能性もないだろう。
――…………
しばらく悩んだ後、哀徒は腹を決めた。
――よし。ここは見られていないという前提で行動しよう!
感じた気配を無視し、見られていないと決め付ける。ロジックの欠片もない、希望的観測と呼ぶのもおこがましい結論だった。それは哀徒自身が十二分に承知している。
――それでも、可能性に賭けるしかない……
今はただ、割り切ることだ。そう自分に言い聞かせ、哀徒は目的地への移動を続けた。

さて、哀徒が目指すその目的地とは一体どこであろうか。
それは彼が所属し、活動を仕切っている文芸部の部室であった。学校における活動の拠点であり、いざと言うときの宿泊場所でもある。そこのロッカーには私物がぎっしりと詰まっており、戦いへの転用が期待できた。
――よし。もう少しだ。
前方に部室棟が見えてくる。誰かに見られているような気持ちの悪さは依然として消えていなかったが、哀徒は躊躇することなく前進を続けた。入り口を通って階段を昇り、目当ての部屋の前に至る。
「…………」

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