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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 50

高速で移動できる代わりに大きい音の出るこの魔法、哀徒がいそうな場所に近づいたら解除して普通の歩行に切り替えなければいけないが、少しは時間の節約に貢献するだろう。

「全くミルキュリアも、姑息な手を使いますわね……まあ別に構いませんけど」
一方的に会話を打ち切られたグーランスは、誰にともなくぼやいた。言うまでもなく彼女は、哀徒の尾行の真っ最中である。哀徒のわずか数メートル後方を歩き、ぴったりと貼り付いて離れずにいた。そしてその状態で魔法を使い、会話をしていたのである。
にも関わらず、哀徒がグーランスの存在に気付くことはなかった。もちろんそれには理由がある。
グーランスは自分と自分が持つ武器、道具の周囲に結界を張り巡らせ、光を素通りさせていた。言わば透明人間になっていたのである。前後左右に加え、上空までも警戒しながら移動する哀徒を付け回すには、そうするしかなかった。
そして、その結界には内部の音を外に漏らさない働きもあった。そのためにグーランスは、哀徒の近くにいながら彼に気付かれることなく、自由に会話をすることが可能だったのである。
「さて……面倒臭いことは手早く済ませるに限りますわね。βΓεΣЫ……」
彼女は遠隔通話の魔法を使い、用事を片付けにかかった。相手に自分の声が通じる状態になったのを感じ取ると、一方的に話を始める。
「ポッパルケー、聞こえてらっしゃいます? わたくし、グーランスですわ。ああ、お返事はなさらなくて結構ですのよ。どうせハルナディーラかルキハユマが近くにいるのでしょう?」
グーランスは一度、間を置いた。先方に自分の言葉が本当に届いているか不明だが、聞き取りやすくしてやるに越したことはないだろう。
「何故連絡をくださらないのか存じませんけど、わたくし達の状況を手短にお話しますわ」
彼女は続いて、自分達が今何をしているかを話し始めた。襄海高校の敷地内にいること、至神に遭遇し、その名前が室重哀徒であると知ったこと、そして今彼を捜索している途中であることなどを簡潔に語っていく。(哀徒を捕まえた後、主人にする予定であることまでは言わなかったが)
「ではご機嫌よう。なるべく早くご連絡くださいましね」
話すべきことを話し終え、グーランスは通信を切った。
そして前方を歩く哀徒に再び注意を集中し、付かず離れずの距離を保って追跡していく。
「あら……?」
ふとグーランスは、小首を傾げた。相変わらず周囲を警戒しながら進む哀徒が何度目かに後ろを振り返ったとき、一瞬彼と目が合ったような気がしたのである。
「気のせいですかしら。それともまさか……」
哀徒はすぐに目を逸らし、それ以上変わった行動は取らなかった。だがグーランスは用心することにし、哀徒が自分の方を向いている間は動きを止めることにする。“ダルマさんが転んだ”を移動しながらやっている感じだ。

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