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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 49

ミルキュリアは足早にその場を離れた。ヘティラが哀徒を見失ったという、西の門(もちろん通用門のこと)に向かうためである。その付近から捜索を始めるのが、おそらく最も確実だろう。
「急ごう。哀徒があのドラ猫女に二度も捕まるとは思えないが、グーランスも哀徒を探している。蛇のように執念深いあの女に捕まったら、どんな目に遭わされるか分かったものじゃないからな……そうだ。少し足止めしてやるか」
協調性のカケラもない台詞をつぶやいたミルキュリアは、再び遠隔通話の魔法を使い始めた。
「βΓεΣЫ……聞こえるか? グーランス」
『……何ですの? ミルキュリア』
グーランスが応答する。何やら不機嫌そうだ。だがミルキュリアはそんなことに構わず、彼女に用事を言い付けた。
「今思い出したんだが、昨日からポッパルケーと連絡を取っていないだろう? 済まないが、今の私達の状況を伝えるだけ伝えておいてくれ」
ポッパルケーと言うのは、ミルキュリア達と目的を同じくする、もう一人の魔法使いである。ミルキュリア達と同様にこの世界へ来ているのだが、今は別行動を取っていた。
急いで連絡する必要は取り立ててないのだが、グーランスの足を引っ張るために、あえて持ち出したのである。
『はあ!? 何で今なんですの? それにミルキュリア、必要ならあなたがやればいいのではなくて?』
案の定、グーランスは反発した。おそらくミルキュリアの魂胆に気付いたのだろう。しかしミルキュリアは慌てず騒がず、己の立場を利用する作戦に出る。
「黙れ! 今は私が将なのだ。私の言う通りにしろ!」
『ぐっ……』
そう。ミルキュリアは一応、三人の中のリーダーという位置付けになっていた。
もとより、実際にどれほど統制が取れているかは今までの文章をお読みいただいての通りである。だがそれでも、ミルキュリアが正面切って命令すればグーランスも無視はできない。ミルキュリアはそこに付け入った。
『……分かりましたわよ。やればいいのでしょう?』
「そうだ。なるべく詳細にな」
『はいはい。今やりま……』
「ではまた後で」
ミルキュリアは通話魔法を終了させた。うまく行ったと内心でほくそ笑む。これでグーランスは、いくらかの時間をロスするはずだ。
「今のうちだ……行くぞ。ШΦλ∵∞……」
バシュッ!
ミルキュリアが呪文を唱えると、靴の裏から高圧の気体が噴き出した。それは彼女の体を浮き上がらせ、数センチ上昇させる。
「はあっ!」
続いてミルキュリアは、足の裏をわずかに後方に向けた。気体の噴流の向きが変わり、その反動で彼女の体は前方に移動していく。原理としては、ヘリコプターに近いかも知れない。
「待っていろ哀徒。すぐに見つけるからな……」
数秒後、ミルキュリアは猛スピードで飛翔していた。気体の噴射音と、彼女の体が外気を切り裂く音が周囲に撒き散らされる。

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