PiPi's World 投稿小説

学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 46
 48
の最後へ

学校で死のう! 48


「糞っ、ここにもいねえか」
その頃、ヘティラは血眼になって哀徒を探していた。部屋の扉を叩き壊し、壁に穴をぶち開け、とにかく哀徒が隠れそうな場所に片っ端から探りを入れる。だが、未だ発見には至っていなかった。
「諦めてたまるか。絶対探し出して、泣いて謝るまで搾り取ってやる……」
そうして破壊活動を続けていると、不意に彼女の頭の中で耳障りな高い声が鳴り響いた。
『ヘティラ!』
「うわっ! 何だ!?」
遠隔通話の魔法を使い、話しかけて来た者がいるのだ。そう悟ったヘティラは右手の指を眉間に当て、呪文を唱えた。
「βΓεΣЫ……」
すると指先が光を放ち、相手との通話が可能になる。この魔法、相手の声を聞く分には特に何もしなくていいのだが、自分の声を先方に届けるには、呪文を唱えて指先を眉間に当てるポーズを取らないといけないのである。
「誰だ? こっちは今忙し……」
『遅いぞ。何をしている? 早く哀徒を連れて来い!』
「何だ、ミルキュリアかよ!?」
『何だとは何だ! いつまで待たせる? まさかまた、恥知らずな行為に及んでいるのではないだろうな!?』
「いや……それが、いなくなっちまってよ……」
『いなくなった? どういう意味だ?』
「そのままだよ! 急にどっかに行っちまったんだ!」
『そうか、それはよか……じゃない。つまり、哀徒に逃げられたということだな?』
ミルキュリアの声が、心なしか高揚したように感じられた。それを少々不審に思いながらも、ヘティラは返事をする。
「……ああ」
『分かった。逃がしてしまったものは仕方あるまい。捜索を続行することにしよう』
「そうだな……って言うか、今探してるけど」
『ちなみに、逃がしたのはどの辺りだ?』
「敷地の西の方にある、小さい門だよ」
『そうか』
その台詞を最後に、ミルキュリアの声は聞こえなくなった。彼女が一方的に魔法を打ち切ったのである。それを感じたヘティラもまた魔法を停止し、指先を眉間から離す。
「ケッ、ミルキュリアめ。相変わらずお高く留まりやがって……おっと、それどころじゃねえ。早く哀徒を探さないと!」
時間を無駄にしたとばかり、ヘティラは慌しく哀徒の捜索を再開した。だが彼女にとって不幸なことに、彼女の探し回るこの建物は、哀徒の目的地ではなかったのである。

一方、ヘティラとの会話を終えたミルキュリアは、こみ上げる笑いに肩を震わせていた。
「ククク……そうか……哀徒はヘティラから逃げ出したか……さすがは私の奴隷だ。あいつが顔を埋めて安らぐのは、やはりこの私の胸しかないのだ……ククク……」
しばらくの間、彼女は我が意を得たりとばかりに悦に入る。しかし、少し経つと真剣な表情になり、軽く首を横に振った。
「いや、まだ喜ぶのは早い。振り出しに戻っただけだ。今度という今度こそ、私の手で哀徒を捕らえなければ……」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す