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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 47

考えれば考えるほどに、無理のある作戦だった。有体に言って、大風が吹けばなんとやらに近い。そもそも哀徒自身、当然のことながらできれば死にたくはないのだ。
だが結局、先生や生徒達の安全を確保できそうなシナリオは、これしか思い付かなかった。
――まあ、しょうがないな!
哀徒は腹を括った。だがそうなると問題は、どうやってミルキュリア達を苦しめるかである。言うまでもなく、簡単にやられてしまっては彼女達が作戦を続けるかどうかで悩むこともなく、命を捨てる効果もない。
――難しそうだな……それに比べたら死ぬ方がよっぽど簡単だ。あいつらの魔法を、無防備で受けさえすればいいんだからな!
しかしながら、何としてでもやらなければいけない。どうしてよいか一瞬途方に暮れた哀徒だったが、まず着るものを手に入れなければいけないことに気付く。
――やっぱり、マッパじゃ話にならないよな。まずはそこからか……
当座の方針が決まると、哀徒は急に気が楽になった。そこからの作戦は、後で状況に応じて決定しよう。
行き当たりばったりには違いないが、何がどうなるか見当も付かない今の状態で、先々までの計画を立ててもあまり意味がないのではないかとも思う。今は基本方針と次の行動だけ決めておけば、十分だろう。
――それじゃ、行きますか……
しばらくして、着るものを手に入れる算段を終えた哀徒は、結界を出る決意をした。もちろん、外の状況が分からない以上、身を晒すのにはリスクがある。極端な話、一歩出た途端に三人のうちの誰かと鉢合わせする可能性だって、ゼロではないのだ。だが、そのときはそのときだと彼は割り切った。
――でも、やっぱり少しは緊張するな!
立ち上がり、手探りでタオルを拾って鞄にしまう。そして数回深呼吸して心を静めた哀徒は、適当な方向に向かって歩き出した。やがて弱い明りが差し、彼の目の前に見慣れた学校の風景が蘇る。
――抜けた!
急いで周囲を見回した。幸いなことに人影は見当たらない。軽く安堵した哀徒は、前途に希望が見えてきたような感覚を覚える。この調子で行けば、あるいは何とかなるのではないか。もちろん、生還できるという意味ではなくてだ。
――待ってろよ、あいつら……
もう二度と、襄海高校の生徒とは戦いたくない。
これ以上一秒も、この学校の敷地内にいたくない。
絶対にそう思わせてやる。
心に固く誓い、哀徒は目的地に向けて前進を始めた。
――さあ、学校で死のう!
物陰からグーランスが自分を監視し、やがて尾行してくるなどとは、夢にも思わなかった。

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