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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 45

彼女は拾った槍を通用門に向け、
「ёЮΓ……」
と何かの呪文を唱え始める。しかし、その呪文が最後まで詠唱されることはなかった。
「哀徒様」
結界の中から、当の哀徒が姿を現したのである。魔法の発動を中止し、物陰から様子を伺うグーランス。哀徒はしばらく周囲を気にした後、足早にその場を去って行った。グーランスは槍を構え直し、後ろから彼に襲い掛かろうとする。
「…………」
だが何を思ったのか、彼女は槍を下ろした。そして足音を忍ばせ、少しの距離をおいて哀徒を尾行し始めたのである。
「あのお顔のご様子、わたくし達ともう一戦交えるおつもりですわね」
グーランスはこう考えた。今ここで哀徒を捕らえるのは簡単だ。だがその場合、哀徒は他の二人に捕まったときと同様、何とか逃げ出そうとするだろう。もちろん逃がさない自信はあるが、それはあまり意味がない。重要なのは、彼に逃げようという気を起こさせないことだ。
それには、『どんなことをしても、絶対グーランスには勝てない』と哀徒に思わせる必要がある。
幸い、彼はまだ自分達と戦う気のようだ。グーランスはそれを利用することにした。
まずこの場は見逃し、行きたい場所に行かせてやる。ミルキュリアやヘティラに再び捕まらないよう、陰からサポートもしてやる。
そうすれば哀徒は必ず、どこかで戦うための準備をするだろう。今のような、全裸に素手の状態で挑んでくるとは思えない。
だから、好きなだけ戦う準備をさせてやる。
そうやって哀徒が十分に体勢を整えたら、戦闘を仕掛けて完膚なきまでに叩きのめす。いかに敢闘精神旺盛な彼でも、敗北を認めることだろう。
「完璧ですわ……そうなれば哀徒様は必ずわたくしを奴隷と認め、一生側においてくださるはず……でへへへへ……」
勝利のプランをその豊か過ぎる胸に秘め、グーランスは哀徒の後をさらに追っていった。

さて、ここでもう一度時間はさかのぼり、今度は結界の中に潜んだ哀徒である。暗闇の中に身を潜めた彼は、ヘティラの足音とうめき声が小さくなっていくのを聞き、当面の危機は去ったと感じていた。
――うまくやり過ごせたみたいだな。でも、まだ油断できない……
念のため、しばらくは外に出ない方がいいだろう。そう考えた哀徒は、もう少し、この妙な空間に宿を借りることにした。
――座るか。
哀徒は鞄からタオルを出して地面に敷き、その上に腰掛けた。疲労の度合いが少しは違うだろう。そして彼は動かずにいる時間を有効活用し、今の状況とこれからの行動について、考えられるだけ考えることにする。この機会を逃せば、ある程度落ち着いて思考する時間は、もう持てないかも知れない。
――まず、この空間を作ってる魔法だけど……

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