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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 40

「βΓεΣЫ……」
ボウッ……
指先が淡い光を放ち始めた。今度は何だと哀徒が見つめていると、ヘティラはここにいないはずの人間と会話を始める。
「ミルキュリアか? あたしだ。哀徒を捕まえたぞ。え……? 変なこと? 交尾ならしたけど、それがどうかしたのか?」
次の瞬間、ヘティラはウッと顔をしかめさせた。
「な、何キレてるんだよお前? 分かった分かった。すぐ連れてくって。場所は? ああ、了解……」
彼女は眉間から指を離し、眼を開けた。
「ったくあいつ、またヒステリー起こしやがって……」
ぶつくさ言いながら立ち上がると、ヘティラはブラとパンツを身に着けた。そして哀徒の両腕を拘束する傘の断片を引っこ抜き、彼を自由にする。
「立てるか?」
「ええ……」
立ち上がった哀徒は自分の着る物を探した。だがシャツもズボンも下着もヘティラの手で無残に引き裂かれ、原形を止めていない。途方に暮れる哀徒の手を掴み、ヘティラは強引に引っ立てようとした。
「ほら、来いよ」
「ちょ、ちょっと……」
「何だよ?」
「服が……」
「そのままでいいだろ。どうせあたしらしかいないんだしさ」
「せ、せめて鞄を……」
「ふん」
ヘティラはしょうがないなといった様子で顎をしゃくり、哀徒が鞄を拾いに行くのを許した。だが哀徒が鞄を拾い上げると、彼女は近寄ってきていきなりそれをひったくる。
「あっ!」
「検査だ。変なもの入れてないか調べないとな」
言うなりヘティラは、鞄を開けて中を探り始めた。入っているのは例の本に筆記用具、それに折り畳み傘やミニタオル、日の丸神風の鉢巻等である。哀徒にとって幸か不幸か、脇差は入っていなかった。出かける前に迷ったのだが、変質者程度なら素手で十分と多寡をくくり、結局持って来なかったのだ。
――今度夜学校に来るときは、甲冑着て薙刀(不法所持)と火縄銃(不法所持)持参でないと駄目だな……
その装備でもヘティラには勝てないはずだが、とにかく哀徒はそう思った。その間にヘティラは鞄を改め終り、哀徒に向けて返してよこす。
「ほらよ。何だかよく分からないものもあるけど、まあいいだろ。これからミルキュリアとグーランスのところに連れてくけど、二人に会ったらちゃんと挨拶しろよ。僕ヘティラの番の哀徒ですってな」
「うぐう……」
「返事!」
「はっはいっ!」
今は我慢である。哀徒は臥薪嘗胆の四文字を胸に肯定の返事をした。待っていればきっと脱出の機会が訪れる……はずだ。
――もっとも可能性があるのは、あの三人が揃うまでだろうけどな。何とかその前に逃げ出さないと!
「よし、行くぞ!」
哀徒の心を知ってか知らずか、ヘティラは陽気な声で出発を宣言した。彼女は哀徒の長い髪を掴み、半ば強引に引っ立てて行く。全裸に靴と靴下だけというシュールな姿の哀徒は、鞄で前を隠しつつも大人しく付いて行った。そして後には気絶した先生と、哀徒の服の切れっ端だけが残されたのである。

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