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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 32

攻撃の成功を確信した哀徒は、一気に決着を付けようと足を前に踏み出した。だが何とした事か、大女は痛そうな顔一つせず哀徒の方に向き直り、左の拳を飛ばして下から顎を狙ってきたのである。
「はあっ!」
「うわっ!」
ダメージがないのだろうか。驚愕した哀徒は、思わず後ろに跳んで攻撃を避けた。大女は無造作に距離を詰めながら、左右の腕を振り回して攻撃してくる。
「それっ! それっ!」
「ぐうっ!」
哀徒は体をかがめたり後ろに反らしたりする事で、どうにか大女の拳をかわし続けた。
「おらおらどうした!? もっと来いよ!」
大女が挑発してくる。しかし哀徒はなかなか反撃に移れなかった。全く隙がない訳ではないのだが、生半可な攻撃ではまた耐えられてしまうだろう。少しずつ攻撃を当てて相手の体力を奪っていく猶予など、今の哀徒にはもちろんない。
――やるなら、一発でノックアウトできる攻撃じゃないと駄目だ……
廊下を動き回って大女の攻撃を避けながら、哀徒は機会を狙う。そのうちに大女がやや体勢を低くしつつ右足を踏み込み、哀徒の鳩尾(みぞおち)に左の拳を飛ばして来た。
「どりゃあ!」
――よし、逝くか!
哀徒は体を左にひねり、右の前腕で大女の拳を後ろに受け流した。体を戻しながら右足を前に出し、左の拳を彼女の口と鼻の間に命中させる。
ゴッ!
ただの拳ではない。中指の第二関節を突き出して尖らせた特殊な拳である。中高一本拳という空手の必殺技だ。
――今度はどうだ!?
一度下がって距離を取り、相手の様子をうかがう哀徒。だが結果は前と同じだった。普通の人間なら正気を保てない程の痛みを覚えるはずが、大女はニヤニヤ笑って打たれた場所を撫でているだけである。
「そんな……」
茫然とする哀徒に、大女は余裕の態度で話しかけて来た。
「無駄だぜ。いくらやってもな」
「何だって?」
「さっきあたしの体が光っただろ? あの時に魔法で防御力を高めた。今のあたしは殴られたって斬られたって平気って訳だ。何ならお前らがよく使う……鉄砲だっけ? そいつを持って来てもいいぜ」
「え……?」
普段の哀徒なら相手の売り言葉を即金で買い、「それじゃうちの神社に飾ってある、旧日本軍の大砲持って来るから待ってて」ぐらいの軽口は叩く所である。だが状況が重過ぎてその余裕がない。打撃が一切通用しないという衝撃の事実に、哀徒は立ちくらみに似た感覚を覚えていた。
――何て事だ。道理で無造作に近づいて来ると思った……
「もう分かっただろ? お前はあたしには勝てないんだよ。さっさと降参しちまいな。優しく扱ってやるからさ……」

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