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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 31

哀徒は痛みをこらえて立ち上がり、相手のほうに向き直った。すると大女が仁王立ちになり、両手を腰に当ててこちらをにらみ付けている。
「ずいぶんなめた真似してくれるじゃねえか……つっても、ただのガキだと思って油断してたあたしが悪いんだけどな」
その台詞を聞き、哀徒は少しばかり体を強張らせた。てっきり怒りに任せて攻撃してくると思っていた大女が、意外に落ち着いていたからである。今の状況において、相手が冷静であることは、哀徒にとってバッドニュースでしかない。
――どうもよくないな。少し挑発して怒らせてみるか。
そう考えた哀徒は、相手の言葉尻を捕えて侮辱的な言葉を吐く。
「ニャーオ! あんな演技に騙されるなんて、まだまだ修行が足りないね。筋肉おばさん!」
何を血迷ったのか、両手を招き猫のように動かす動作まで付け加える哀徒。大女の額には、一瞬で青筋が浮かんだ。
――よし。成功したみたいだな……
内心ほくそ笑んだ哀徒だったが、すぐに全身から冷や汗を噴き出す羽目になった。憤怒の形相になったはずの大女がいきなりにやりと笑い、例の呪文のようなものを唱え始めたからである。
「жゞЙ*……」
――まずい! 魔法が来る!
ミルキュリアとの戦いを経験していた哀徒は、一瞬にして事の重大さを理解した。だがここで動揺しては敵の思う壺である。哀徒は動悸を抑えつつ体の力を抜き、いつでも次の行動に移れるようにした。大女がどんな魔法を使うのか見当も付かないが、一か八か、攻撃される瞬間を狙って右か左に回避を試みるしかない。
ボウッ……
「あっ」
大女の全身が淡い光に包まれる。哀徒は彼女からわずかに視線を逸らし、その光を凝視しないようにした。どんな性質を持っているか、分かったものではないからだ。
――さあ、どうなる!?
神経を張り詰め、相手の出方を待つ哀徒。だが予測に反し、それ以上は何も起きなかった。大女の体から放たれる光は次第に弱まり、やがて完全に消えてしまったのである。
――え?
どういう事だろうか。哀徒は大女の意図を理解しかねた。何か魔法を使ったのは間違いないはずだが。
「へっへっへ……さあ行くぜ」
哀徒の疑念をよそに、大女は微笑を浮かべたまま両手を広げて迫ってきた。こうなっては已むを得ない。相手の魔法の正体がはっきりしないのは不安だが、今はとにかく普通に戦う事だと哀徒は思った。
「はああっ!」
大女が足を踏み込み、気合と共に右の拳を哀徒の顔面に放ってくる。凄まじいスピードだった。かすっただけで大ダメージを負うのは避けられないだろう。
「くっ!」
哀徒は左足、続いて右足を左に踏み出し、辛うじて大女の拳をかわした。そのまま相手が拳を引くのに合わせて右足を振り上げ、右の脇腹、肝臓の辺りに前蹴りを叩き込む。
ドカッ!
――入った! 今度は手ごたえありだ!

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