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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 4

金髪の美女が無造作に近寄って来る。反射的に哀徒は後ろに下がって距離を保った。
「待った待った!あんた誰?こんな時間にそんな格好で何やってるの?」
下がりながら女性に向かって問いかけた。ちなみに、
――時間に関しちゃ俺も人のことは言えないけど。
という付け足しはもちろん心の中に止めている。
女性は答えなかった。その代わりに哀徒の目を覗き込んでくる。すると急に哀徒は体を動かせなくなった。
「あ…え…?」
――何だ?催眠術か!?
哀徒は戸惑った。女性は続けて彼の方に手を差し伸べてくる。
「少し眠っていろ」
しなやかな指が一本伸ばされ哀徒の額に触れるが、彼は魅入られたように動くことができない。
「く…この…」
「…………………」
女性の口から何語か分からない言葉が漏れる。するとどういう仕掛けか彼女の指先が淡い光を放ち始めた。
――これは!?
その光を浴びると哀徒の意識はだんだん遠のいていった。
――何だか分からないがまずい!
そう思っても体は動かなかった。足も腕も思うとおりにならず、動かせるのは口くらいである。
――口…そうだ。試しにあれでもやってみるか!
ガリッ!
「うおお!!」
体が動いた。女性の指先から額を離す。同時にかすんでいた意識もはっきりした。
「な…」
今度は女性が驚く番だった。その驚いた顔めがけて哀徒は血と唾液の混合物を吹き付ける。女性がひるんで顔を背けた。
言うまでもなく哀徒は口の中を歯で噛み切りその痛みで覚醒したのだった。
――上手く行く保証はなかったけど、何とかなったな!
無断でこちらの意識を奪おうとした以上もう敵と見なして問題はない。哀徒は間髪を入れず攻撃に移った。女性の下腹部めがけて立ったままの姿勢からまっすぐ蹴りを出す。
女性は後ろに跳んで避けた。
どうやら視界は奪えなかったらしい。二人の距離が開いて仕切り直しになる。
女性が感嘆したような声を出した。
「私の術から逃れたか。かなりの精神力の持ち主のようだな」
「それはどうも。お褒めに預かり光栄ですね」
哀徒はわざとらしく礼をして見せた。
「しかし何なんだこの人は?ただのコスプレおばさんじゃないとは思ったけど」
「聞こえてるぞ、このガキ。女みたいな顔の癖に…」
女性の額に青筋が立った。若い女性相手に『おばさん』が禁句なのはどこでも一緒らしい。
だが哀徒はそんなことに構わず、これまでの人生で軽く千回以上は発した「ざけんな。誰が女だ」という台詞を吐こうとした。しかし女性の次の行動がそれをさせない。
「かわいそうだが、少し手荒な手段で動けなくなってもらうしかないな」
彼女はそう言うと腰の剣の柄に手を掛けたのである。背中の大剣でないのは屋内で振り回すのが難しいからだろう。
――まずい!あれを抜かれたら素手のこっちは不利だ!
次の瞬間、哀徒は女性目がけて突進していた。

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