PiPi's World 投稿小説

学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 1
 3
の最後へ

学校で死のう! 3

黙って入り込んでもいいのだが万一見回りに来た先生と鉢合わせしたりするとやっかいだ。
先生はいささか渋い顔はしたものの、結局哀徒が校舎に入ることを認めてくれた。と言ってももう入ってしまっているので断りようがなかっただけかも知れないが。
ちなみに前回の時と同じく校舎に鍵は掛かっていない。当時これ以上不審者が入らないように施錠するべきではという議論はあったのだが、哀徒の暴走によって犠牲者が出なかったせいかいつしか立ち消えになっていた。
それはさておき、哀徒は通い慣れている教室に到着した。「1−C」と書かれた表札は読めないが間違えるはずはない。
扉を開けて手探りで電灯のスイッチを入れ…
「うおまぶしっ!」
暗いところに長らくいて急に電灯を点けたので目が眩んでしまった。思わず瞼を閉じ電灯を消してしまう。
「やれやれ」
再び暗くなった教室の中を移動して自分の机までたどり着いた。中を探ると本はちゃんと置いてあった。ほっと息をついて服の中に後生大事にしまいこむ。
長居は無用だ、早いところ宿直の先生に挨拶して帰るに限ると哀徒は思った。教室の電灯を消して廊下に出る。
宿直室に再度向かおうとした時、前方に人の気配がした。どうやらこちらに向かって歩いてくるようだ。
「誰?どなた?」
思わず問いかけた。用務員か宿直の先生なら懐中電灯でも照らして堂々と歩いてくるはずだが。もしかしてまた自称精神異常者だろうか。
「ん?まだ人間がいたのか…」
こちらに気付いたらしい人影が妙な言葉を口走った。声からするとどうやら女性のようだ。
相手の言葉の意味を理解しかねた哀徒は何の脈絡もない受け答えをしてみた。
「こんばんは。今夜は実に月がきれいですね」
女性は何も言わずに哀徒に接近してきた。その姿がおぼろげながら見えると哀徒は思わず息を飲んだ。あまりにも想定の斜め上を行く格好だったからだ。
その若い美女は、哀徒より頭一つ分長身で金髪のポニーテールだった。それはいいのだが問題は首から下で、胴体を西洋風の甲冑で覆っていたのである。
また下半身は長いスカートで覆われ、腰には剣を佩いていた。
さらに背中には彼女自身の身長より長い大剣を背負っている。
「…………」
哀徒は冷や汗をかきながら一歩下がった。最初はよくできたコスプレかと思ったがどうも雰囲気が違う。暗いのでよく見えないのだが、どことなく『本物っぽい』臭いを感じるのだ。
それに哀徒を見下ろす女性の視線には殺気こそ篭っていないもののかなりの威圧感を有していた。
――これはこの前の奴とはわけが違うぞ!
哀徒は心を落ち着けながら相手の出方をうかがった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す