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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 28

――どこに隠れてもらおうかな……
哀徒は先生を隠す場所を物色し始めた。自分が隠れるならそれ程悩む事はないのだが、隠れるのは意識を失っている先生である。なるべく体に負担の掛からない場所が望ましいだろう。もっともあまり選り好みしている暇はないが……
しばしの間、哀徒は校舎内を徘徊した。いくつかの教室を横目に見つつ廊下を進む。そして突き当たりの角に近づいた時、その足が不意に止まった。角の向こうで人の気配がし、話し声が聞こえてきたのである。
「ったくあのガキ、どこに消えやがった……」
――!!
哀徒は心臓が止まりそうになった。すぐ近くに誰かいる!
もちろん学校の先生や生徒のはずがない。声からしてミルキュリアではなさそうだが、その仲間に相違なかった。
――まずいぞ……
だが幸いにも、向こうはまだ哀徒の存在に気付いていないようだった。うまくすれば逃げられるかも知れない。そう思った哀徒はくるりと反転し、抜き足差し足、音を立てないようにその場を離れようとする。だが彼の幸運もここで尽きていた。何メートルも歩かないうちに背後から、「あっ、いたいた!」という声が響いて来たのだ。
――神は死んだ!
神官にあるまじき罰当たりな事を、哀徒は心に叫んだ。恐る恐る後ろを振り返ると、視線の先に一人の女性が立っている。
「ああ……」
そこにいたのは紛れもなく、先刻哀徒の背後から現れたミルキュリアの仲間だった。190センチ以上ありそうな長身に、茶色の短い髪。グラマラスな肉体を毛皮のブラとパンツで覆っている。彼女は獲物を見つけた肉食獣のような目付きで、背の低い哀徒を見下ろしていた。
「へっへっへ……やっと見つけたぜ。室重哀徒だっけ? あたしと一緒に来てもらおうか」
「ぐくっ……」
大女(もちろんヘティラだが、まだ哀徒が名前を知らないのでとりあえずこう呼ぶ)はニヤニヤ笑いながら無造作に近寄って来た。ミルキュリアとどこか似た感じの威圧感にあてられ、哀徒は反射的に後ずさってしまう。
「そんなにビビんなよ。大人しくついて来りゃ痛めつけたりしねえって」
そう言われても、哀徒には大人しく捕まるつもりは毛頭なかった。前進して来る大女と同じスピードで後退しながら、彼はしきりに考えをめぐらせる。
――先生を抱えて逃げ切るのは多分無理だろう。やっぱり戦うしかないな!
哀徒は覚悟を決めた。はっきり言って、戦うには洒落にならない程状況がこちらに非である。相手がどんな力を持っているのか分からないし、近くに別の敵がいるかも知れないのだ。だがそれでも、どうにかしてこの大女を撃破しなければ、哀徒達に明日がないのは明白であった。
幸いな事に、大女は急いで攻撃して来る様子は見せなかった。おそらくいつでも捕まえられると考えているのだろう。それに加えて、今の所哀徒が反抗して来るとは思っていないようである。それなら必ず、付け入る隙があると哀徒は希望を抱く。

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