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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 27

哀徒の脳天に、ある一つの仮説が浮かんだ。今の状況からなら十分考えられる仮説だ。だが次の瞬間には頭を振り、それを打ち消す。いや、そんなはずはない。自分で気が付かないうちに180度ターンしてしまっただけだ。そうに決まっている。
無理やりそう思い込んだ哀徒は、もう一度門を通ってみる事にした。
――今度こそ!
今度は途中で立ち止まらなかった。景色が消えても構う事なく、真っ直ぐに歩き通す。だが結果は同じだった。最終的に4回試してみたが、出て来るのは常に門の内側だったのである。
「くっ!」
哀徒は近くにあった石を拾い、門の上越しに外へ向けて投げた。投げられた石は門の上に差し掛かった所でフッと見えなくなる。次の瞬間消えたのと同じ所から石は現れ、哀徒の足元にコトリと落ちた。
「ああ……」
哀徒は落胆し、がっくりと肩を落とした。担いだ先生まで落としそうになり、慌てて右手で抱え直す。もう認めるしかなかった。どうやっているのかは知らないが、外に出られないようミルキュリア達に細工されているのだ。
――あいつら、こんな事もできるのか。これなら確かに、爆弾もトラップも必要ない!
事の重大さに、哀徒は自分の体がガタガタ震えるのを感じていた。考えていたいくつかの行動計画が、一瞬にして一つ残らず瓦解したのだ。冷静に考えれば予測できない事態ではなかったのかも知れないが、結局今の今まで思い至らなかった。
――何が、『警官隊を魔法の餌食にしないためにはどうしたらいいか』だ。俺自身向こうの出方なんか全然読めなくて、自分の常識だけで動いてるじゃないか……
しかしながら、反省している余裕も今はなかった。外に出られない事が分かった以上、早急に次の行動を決め直さないといけない。
――さて、どうするか!
ようやくの事で震えを押さえ、哀徒は考え始めた。まずこの場所に長居は無用だ。そしてとにかく、先生をどこかに隠す必要があった。問題はその場所だが、脇差と違ってその辺の草むらにという訳には行かない。いくら寒い季節ではないとは言え、やはり風雨のしのげる屋内でなければならないだろう。
そうなると小講義棟に戻るか、あるいは別の建物を目指すかという選択肢が考えられた。一瞬考え込んだ哀徒だったが、結論はすぐに出る。
――やっぱり小講義棟に戻るのは危ないな。第一校舎棟に行ってみよう。
第一校舎棟というのは、小講義棟の東隣にある建物である。そこのどこかにひとまず、先生を隠そうと哀徒は思った。ミルキュリア達が探そうとした時、よしんば最終的には見つかるにせよ、多少の時間が稼げるに違いない。
「すみません先生。もう少し辛抱してくださいね」
哀徒は通用門を後にした。小講義棟の北側を通って第一校舎棟へ向かう。この移動の最中も当然危険だが、またしても彼はツキに恵まれた。無事に到着し、玄関から入り込む事ができたのである。(今更で恐縮だが、襄海高校は一部を除き屋内でも土足OK)

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