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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 26

今更言うまでもないが、この状態でミルキュリア達に遭遇したら大変な窮地に陥る。思うように戦う事も逃げる事もできないのだ。学校の敷地を出るまで、誰にも遭わない事を祈るしかなかった。
「どうか、あいつらに見つかりませんように……」
先程は哀徒の願いを聞き入れなかった神様だが、今回は少々気まぐれを起こしたらしい。哀徒はミルキュリア達に出くわす事なく、通用門にたどり着く事ができたのである。
――ついてるぞ!
哀徒はほくそ笑んだ。鉄製で観音開きの門の向こうには、付近の民家が月明かりに浮かび、はっきりと視認できる。安全地帯はすぐそこだ。
とは言え、ここで気を抜く訳には行かない。哀徒は一通り門扉を改め、爆弾やトラップの類が仕掛けられていないかチェックした。敵が魔法使いだからと言って、使われないという保証はないのだ。
「大丈夫みたいだな」
幸い、これと言って異常はなかった。哀徒は再び周囲を警戒しつつ、左手を門扉にかける。ゆっくりと手前に引き、人一人通れるだけの隙間を作った。
――よし、今だ!
哀徒は外に向かって走り出した。が、門を通り抜けた瞬間に異変が生じる。周囲の風景が急に消え、一面黒ペンキを流したように真っ黒になったのだ。
――うお! 何だ!?
悲鳴こそ口に出さなかったものの、哀徒はぎょっとして立ち止まった。もちろん真夜中の事だから、元々かなり暗かったのは言うまでもない。だが月は出ていたし、学校の外にはまばらながら街灯もあったから、全くの暗闇という事はなかった。それが突然、あたかもテレビの電源を落としたように、一切何も見えなくなったのだ。
――これは一体……?
上や左右に視線を向けても同様だった。一応触って確かめたが、顔を何かに覆われた訳でもない。何が起きたのか見当も付かなかった。
――どうなってるんだ!?
想定の範囲外な展開である。哀徒の心臓は激しく鼓動し、冷や汗が全身から噴き出した。
しかし、こうして立ち止まっていても埒が開かないのは明らかである。かなりの不安を感じたものの、哀徒はもう少し進んでみる事にした。足先で前方を探りつつ、慎重に前進して行く。そして2、3メートル程移動したかと思われた時、急に視界が回復した。
「あっ、見えた!」
訳の分からない状態からは、どうやら脱出できたらしい。しかし、ほっとするのはまだ早いと哀徒は思った。果たして無事、外に出られただろうか。急いで周囲を確認する。が、期待は無残に裏切られていた。
「学校の中じゃん……」
そこは紛れもなく、学校の敷地内だった。ものの見事に逃走失敗である。後ろを振り返ると、たった今通ったはずの通用門がそこに存在していた。
――という事は、まさか……

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