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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 25

だがそれも、状況が変わればどうなるか分からない。それ以前に、生かしておくのは人質として利用するためという可能性もある。いずれにせよ、今のうちに安全地帯へ運ぶのに越した事はないと思われた。
全く同じ事は、ここから少し離れた建物にいるであろう用務員さんについても言える。確証はないが、おそらく用務員さんもこの先生と同じ目に遭っているだろう。そう哀徒は感じていた。
――まずは、先生を運び出すとするか。
とは言え、さすがの哀徒も二人を一遍には搬送できない。どうしても一人ずつになってしまう。ここは先に先生を運び出し、その後で用務員さんの安全確保を図るしかないだろう。
幸いな事に、この小講義棟のすぐ近くには外とつながる通用門がある。いますぐ動けば、ミルキュリア達に見つかる事なく先生を運び出せる可能性が十二分にあると哀徒は踏んだ。そして外の電話を使えば、警察や消防署と連絡を取る事もできるだろう。
――あのミルキュリア達も、外の電話には手を回していないはずだ……
外部の電話まで不通にすれば、誰かがその事に気付き、騒ぎになる恐れがある。事件の発覚をなるべく遅らせたいはずの彼女達が、そんなリスクを犯すとは考えにくかった。
もっとも、外に出た後の行動についてはまだ未定である。
すぐに警察に連絡するべきか。それともその前に、一人で用務員さんを助けに戻るべきか。
正確な状況を知らずにやって来る警官隊を、みすみす魔法の餌食にしないためにはどうしたらいいのか。
考えなければいけない事が多岐に渡っている。だが、それらはここで結論を出さなくても別によかった。今はとにかく、先生を外に連れ出す方が先決だ。
実を言うと、先生を運び出す事自体にも問題がない訳ではない。ミルキュリア達に何をされたか、正確には分からないからだ。
もし哀徒の気が付かない所でどこか負傷していたら、動かす事で返って悪化させてしまう恐れがある。だがそれでも、このままここにいてミルキュリア達に確保されるよりはマシだと考え、哀徒は先生の体を持ち上げにかかった。
「よいしょっと」
先生は大分大柄で、かつ少々肥満していた。だが哀徒の体力をもってすればそれほどの重荷ではない。先生の体を右肩に担ぎ上げた哀徒は、静かに宿直室を出て玄関に向かった。さっきとは逆にガラスの扉から外の様子をうかがい、異常のない事を確かめて小講義棟を出る。足早に、それでいて先生を落とさないよう注意しつつ、哀徒は通用門を目指した。

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